朝日新聞記事「報道・配慮両立なお課題」は自己批判のポーズか?
5月18日の朝日新聞朝刊に記事「報道・配慮両立なお課題」と題したJR西日本宝塚線の事故について、報道関係者の救助活動や被害者遺族などへの配慮についての記事が掲載されました。
ですが、ぼくには自己弁護の記事としか思えません。
まず、「26日夕、12両目人命探知装置が投入された~(中略)~この装置を有効に使うには足音もたてないような静寂が求められる。それまで上空を飛んでいたヘリコプターの騒音はやんでいたという」箇所があります。
我々は人命探知装置を使うときはヘリを使うのをやめてましたよ、といいたいのでしょう。ですが、逆にいえば、それまで事故の周辺空域では報道用のヘリがガンガンヘリが飛んでいたわけです。これはTVのニュースなどで報道されております。
今更いうまでもありませんが、このような事故の場合、初期の救出が最も重要です。初動で重体の被害者が助かるかどうかの勝負となります。むろん被害者を発見する為には騒音など無いほうがよいに決まっています。
記事中では「事故直後は報道ヘリが飛んでいた」といい、「尼崎消防局によると、車内で活動していた隊員は『集中していたので気にならなかった』と話しているもの、周辺では、耳元で話さないと聞こえないような騒音だったという」との記述があります。
果たして本当でしょうか?車内ではぶつかった自動車のガソリンが漏れ、引火する危険もあるという非常にシビアな状況でした。
助けを求める被害者の声がその様な騒音の中で聞こえるものでしょうか。またヘリの騒音が本当にその様な苛烈な環境下で人命救助に従事するレスキュー隊員たちの任務への集中への妨害にはならないのでしょうか。
少なくとも、そのような騒音は車外で活動していた消防、警察関係者が連絡を取り合ったり、野次馬を整理したりする邪魔にはなったでしょう。
また着目しなくてはならないのが、肝心なところが「~という。」という、まるで第三者にきいたかのような伝聞形で語られていることです。現場には朝日新聞の記者が当然いたわけで、現場を取材した記者に状況を確認したのでれば、断定的に書いてよいのではないでしょうか。
多少意地悪にみれば、伝聞形にしてあるのは逃げを打っているともとれます。
また別の箇所では「中越地震ではマニュアル(阪神大震災後つくられた、災害時における航空機などの安全対策マニュアル)に沿う形で各社は捜索現場から半径1キロ内の飛行を控えた」と述べています。ですが、現場ではヘリの音がうるさく、人命救助の邪魔になっていたという証言が週刊誌などで報道されています。
実際航空機の1キロというのは非常に近い距離です。また国交省の基準では300メートル以下に高度を落としてはならないことなっていまが、逆にいえば300メートルまでは高度を下げられるわけです。これまた極めて低い高度です。
実際に航空ショーなどに行った方はご理解できるでしょうが、1キロぐらいのところで複数のヘリが飛行、特にホバリングしていれば相当の騒音です。大体、長時間空撮したところで、劇的なシーンがとれるわけもなく、テレビ各局は実況の垂れ流し用に飛ばしていたのでしょう。新聞社にしてもわざわざ空撮をする必要があったのでしょうか。
それにヘリではなくもっと騒音が少ない固定翼機での取材ではいけなかったのでしょうか。
ぼくはこのような大災害の場合、一切の報道用航空機、特にヘリの使用を禁止するべきだと思います。譲ったとしても代表一機に絞るべきです。どうせ撮れる「絵」なんて大同小異なんですから。
第一空挺団の「降下はじめ」じゃあるまいし、そんなにたくさんのヘリを飛ばす必要はないでしょう。
高いところから「絵」がとりたければ周囲の高層マンションなんぞからでも撮れたでしょうに。
また別な箇所では「今回の事故で、朝日新聞は原則として低騒音型のヘリを使った。朝日新聞も含め、ヘリだけに頼らず、高い位置からの撮影に高所作業車を併用する社が相次いだ」とあります。何で高所作業車からの撮影だけでは足りないのでしょうか。人命救助より報道の方がプライオリティが高いのでしょうか?
ここでいう「低騒音型のヘリ」とはいかなるものか、朝日新聞東京本社に問い合わせたところ、自社がこの機種を使ったというのはわからないが、ユーロコプターのEC130B4をその一例として挙げました。
近年ではドクターヘリや災害救助、警察、報道用などとして、比較的騒音の低いヘリが開発され、市場に出ています。朝日新聞社では自社所有のヘリを今後低騒音型ヘリに切り替えて行く方針だそうです。
しかしながら、「低騒音」といっても元来ヘリという騒々しい乗り物です。何しろ、ローターを回転させて得た浮力で航行するわけですから原理的に騒々しいのが当たり前です。実際に国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)の基準では全備重量で上空を通過したときの音は84.3デシベル以下でなければならないとい基準がありますが、先に挙げたEC130B4はこれを8.5デシベル下回っている程度です。最低基準の約10パーセント程です。
他社は知らないが、我が社は低騒音ヘリを使って配慮していますといいたいのでしょうが、多少静かな程度です。エクスキューズにしか聞こえません。
また仮に全社が低騒音ヘリを使用したとしても、多くのヘリが現場付近をバタバタ飛べば五月蠅いのは言うまでもないでしょう。カロリーハーフのビールだって4本飲めば、普通のビールを二本飲んだのとおなじです。
更に記事では例のヒゲ記者の件にも触れています。「(件の事故直後記の者会見が放送された)直後、インターネットの掲示板などで『発言の主は朝日新聞社の記者』とす誤った情報が流され、朝日新聞社には『遺族の代表のつもりか』などと100件以上の抗議が寄せられた」と自社が被害者であると言わんばかりの記述があります。
読売新聞があの記者は我が社の記者であるとの謝罪記事を掲載したのは13日の朝刊です。かなりの日数が経過しているわけです。
根拠もなくあれは朝日の記者だと決めつけるのは問題があります。ですが同社がかつての百人切り競争記事、南京大虐殺、教科書問題の誤報、従軍慰安婦問題、先のNHKの番組を巡る問題などで誠意ある陳謝と訂正を行ってこなかったのもこれまた事実で「いかにもやりそうだ」と思われても仕方ないという気もします。
ぬれぎぬを着せられた、と被害者意識を振りかざすならば、速やかに記者会見を開くなり紙面上で、「あれは我が社の記者ではない、読売の記者だ」と申し開きをすべきでしょう。それをしかなったのは件の記者が記者クラブという談合仲間のお仲間だったからでしょう。
こういう体質のメディアが橋梁談合を批判するのはいささかたちの悪い冗談のようにも思えます。
ですが、ぼくには自己弁護の記事としか思えません。
まず、「26日夕、12両目人命探知装置が投入された~(中略)~この装置を有効に使うには足音もたてないような静寂が求められる。それまで上空を飛んでいたヘリコプターの騒音はやんでいたという」箇所があります。
我々は人命探知装置を使うときはヘリを使うのをやめてましたよ、といいたいのでしょう。ですが、逆にいえば、それまで事故の周辺空域では報道用のヘリがガンガンヘリが飛んでいたわけです。これはTVのニュースなどで報道されております。
今更いうまでもありませんが、このような事故の場合、初期の救出が最も重要です。初動で重体の被害者が助かるかどうかの勝負となります。むろん被害者を発見する為には騒音など無いほうがよいに決まっています。
記事中では「事故直後は報道ヘリが飛んでいた」といい、「尼崎消防局によると、車内で活動していた隊員は『集中していたので気にならなかった』と話しているもの、周辺では、耳元で話さないと聞こえないような騒音だったという」との記述があります。
果たして本当でしょうか?車内ではぶつかった自動車のガソリンが漏れ、引火する危険もあるという非常にシビアな状況でした。
助けを求める被害者の声がその様な騒音の中で聞こえるものでしょうか。またヘリの騒音が本当にその様な苛烈な環境下で人命救助に従事するレスキュー隊員たちの任務への集中への妨害にはならないのでしょうか。
少なくとも、そのような騒音は車外で活動していた消防、警察関係者が連絡を取り合ったり、野次馬を整理したりする邪魔にはなったでしょう。
また着目しなくてはならないのが、肝心なところが「~という。」という、まるで第三者にきいたかのような伝聞形で語られていることです。現場には朝日新聞の記者が当然いたわけで、現場を取材した記者に状況を確認したのでれば、断定的に書いてよいのではないでしょうか。
多少意地悪にみれば、伝聞形にしてあるのは逃げを打っているともとれます。
また別の箇所では「中越地震ではマニュアル(阪神大震災後つくられた、災害時における航空機などの安全対策マニュアル)に沿う形で各社は捜索現場から半径1キロ内の飛行を控えた」と述べています。ですが、現場ではヘリの音がうるさく、人命救助の邪魔になっていたという証言が週刊誌などで報道されています。
実際航空機の1キロというのは非常に近い距離です。また国交省の基準では300メートル以下に高度を落としてはならないことなっていまが、逆にいえば300メートルまでは高度を下げられるわけです。これまた極めて低い高度です。
実際に航空ショーなどに行った方はご理解できるでしょうが、1キロぐらいのところで複数のヘリが飛行、特にホバリングしていれば相当の騒音です。大体、長時間空撮したところで、劇的なシーンがとれるわけもなく、テレビ各局は実況の垂れ流し用に飛ばしていたのでしょう。新聞社にしてもわざわざ空撮をする必要があったのでしょうか。
それにヘリではなくもっと騒音が少ない固定翼機での取材ではいけなかったのでしょうか。
ぼくはこのような大災害の場合、一切の報道用航空機、特にヘリの使用を禁止するべきだと思います。譲ったとしても代表一機に絞るべきです。どうせ撮れる「絵」なんて大同小異なんですから。
第一空挺団の「降下はじめ」じゃあるまいし、そんなにたくさんのヘリを飛ばす必要はないでしょう。
高いところから「絵」がとりたければ周囲の高層マンションなんぞからでも撮れたでしょうに。
また別な箇所では「今回の事故で、朝日新聞は原則として低騒音型のヘリを使った。朝日新聞も含め、ヘリだけに頼らず、高い位置からの撮影に高所作業車を併用する社が相次いだ」とあります。何で高所作業車からの撮影だけでは足りないのでしょうか。人命救助より報道の方がプライオリティが高いのでしょうか?
ここでいう「低騒音型のヘリ」とはいかなるものか、朝日新聞東京本社に問い合わせたところ、自社がこの機種を使ったというのはわからないが、ユーロコプターのEC130B4をその一例として挙げました。
近年ではドクターヘリや災害救助、警察、報道用などとして、比較的騒音の低いヘリが開発され、市場に出ています。朝日新聞社では自社所有のヘリを今後低騒音型ヘリに切り替えて行く方針だそうです。
しかしながら、「低騒音」といっても元来ヘリという騒々しい乗り物です。何しろ、ローターを回転させて得た浮力で航行するわけですから原理的に騒々しいのが当たり前です。実際に国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)の基準では全備重量で上空を通過したときの音は84.3デシベル以下でなければならないとい基準がありますが、先に挙げたEC130B4はこれを8.5デシベル下回っている程度です。最低基準の約10パーセント程です。
他社は知らないが、我が社は低騒音ヘリを使って配慮していますといいたいのでしょうが、多少静かな程度です。エクスキューズにしか聞こえません。
また仮に全社が低騒音ヘリを使用したとしても、多くのヘリが現場付近をバタバタ飛べば五月蠅いのは言うまでもないでしょう。カロリーハーフのビールだって4本飲めば、普通のビールを二本飲んだのとおなじです。
更に記事では例のヒゲ記者の件にも触れています。「(件の事故直後記の者会見が放送された)直後、インターネットの掲示板などで『発言の主は朝日新聞社の記者』とす誤った情報が流され、朝日新聞社には『遺族の代表のつもりか』などと100件以上の抗議が寄せられた」と自社が被害者であると言わんばかりの記述があります。
読売新聞があの記者は我が社の記者であるとの謝罪記事を掲載したのは13日の朝刊です。かなりの日数が経過しているわけです。
根拠もなくあれは朝日の記者だと決めつけるのは問題があります。ですが同社がかつての百人切り競争記事、南京大虐殺、教科書問題の誤報、従軍慰安婦問題、先のNHKの番組を巡る問題などで誠意ある陳謝と訂正を行ってこなかったのもこれまた事実で「いかにもやりそうだ」と思われても仕方ないという気もします。
ぬれぎぬを着せられた、と被害者意識を振りかざすならば、速やかに記者会見を開くなり紙面上で、「あれは我が社の記者ではない、読売の記者だ」と申し開きをすべきでしょう。それをしかなったのは件の記者が記者クラブという談合仲間のお仲間だったからでしょう。
こういう体質のメディアが橋梁談合を批判するのはいささかたちの悪い冗談のようにも思えます。
この記事へのコメント
結局幼稚なんですね。