円安、インフレで景気は良くならない。
さて、自民党の安倍総裁はインフレ、円安誘導すれば景気がよくなると主張しています。
またエコノミストにもそれを支持する人が多数います。
でもそうでしょうか。
かつてのインフレ時代、一般的に物価の上昇に併せて給料があったことはありませんでした。ましてや物価の上昇よりも大幅に給料があがるなんてありませんでした。まあ、バブルで儲けたり、急成長の一部の景気のいい企業は別ですが。
インフレで生活が所得が増えて景気がよくなるならば、物価の上昇よりも給料や所得があがらないとなりません。ですが安倍総裁はそのような保障を説明してくれません。
できないからです。
また円安になって製造業が儲かるというのもその限りではありません。製造業が製品の100パーセントを輸出しているわけではありません。輸出を全く行っていないメーカーも多数存在します。
輸出を全くしない企業、これに農家などを加えていいのですが、円安、インフレになると材料費や光熱費などの支出が増えます。
例えば現在100円のコストで生産し、200円で売っている製品のコストが150円になるとしましょう。その場合300円で売ればいいのですが、その通りにはなりません。
これは製造業だけではなく、運送会社などでも同じです。
少し前の原油高、食料品高の時代、メーカーは消費者や顧客に転嫁できませんでした。売値を上げたり、内容量を減らすと消費者は商品を買ってくれませんでした。結局売り上げを減らして減収となった企業が多くありました。
例えば日本であるいは世界でその会社しか製造していない製品であれば、値上げは可能でしょうが、競合がひしめく市場での製品では安易な値上げはできません。
インフレというのはお金よりもものの価値が高くなることです。現金を握っているよりも、それをものに換えた方が儲かる、得するということです。
ですが、そのようになるでしょうか。安易な円安誘導はエネルギーや原材料などの「川上」のインフレを招きますが「川下」でもインフレになるでしょうか。
かつてのように不動産がドンドンあがるでしょうか。
そんなことは無いでしょう。国内マーケットは少子化で家は余っています。昔のような「土地神話」、「持ち家信仰」は消えました。未だに信じている人はいるでしょうが、家を買わないといけないという同調圧力はありません。
「神話」と「信仰」が無い限り、不動産がドンドン値上がりするようなことはおこりません。
また「三種の神器」やピアノを買わなくちゃいけないというせっぱ詰まった消費欲求もありません。冷蔵庫にしてもクーラーにしてもあって当たり前、安くて当たり前で、給料の何ヶ月分をはたいて買うものではなくなりました。
また若い衆にしてもぼくらの20代ころのようにスキーに行かなくちゃならない、デートのためにクルマを買わなくちゃいけないといいう強迫観念はありません。
大手企業は金が余っていますが、安易にそれを使いません。
未だに設備投資を云々する人がいますが、市場が大きくならないのに積極的に設備投資をする会社はありません。
そもそも本当に円安になるんでしょうかねえ。米国も欧州も、中国も大変です。中進国もその余波をうけて大変です。ブラジルやロシアなんぞも資源が安くなって大変です。これらの国々の通貨は下がると思いますが、円をどうやってそれよりも安く誘導するんでしょうか。
輸出にしても現在世界最高水準の日本の人件費ではいくら円安になっても中進国と同じ土俵に立っても勝てないでしょう。かつては途上国は生産されなかった、自動車や家電なども大量に生産されています。日本企業の技術的な優位はさしてありません(もっともアイリスオオヤマみたいに、発想を買えて家電に参入する企業もありますが)。
別な分野にビジネスをシフトする、あるいは今まで違った形でのパラダイムを持ち込むことも必要でしょう。
本当に必要なことはマーケットを拡大すること、需要を喚起することです。
ところが自民党は建設国債を刷りまくって、土建屋にばらまくことしか言っていません。あまりに粗雑です。過去延々とその手のばらまきをやってきてたから、国の借金が膨らむだけ膨らんで、景気が一向に回復しなかった。それは自民党の政策のミスです。というよりも支持者にこびて税金を私した結果です。
で、安倍総裁はこれを繰り返そうとしているわけです。
国内の需要を増やすのであれば、一つは女性の労働環境を良くすることです。夫婦共稼ぎで収入が増えれば消費が増えます。
また、外国からのお金持ちの移住を優遇する手もあります。例えば資産10億円を持ち込んだ移住者に関しては10年間所得税を無税にするとか。
単に人口を増やせばいいわけじゃありません。貧乏な移民が増えれば、社会保障費が膨らむだけです。
外国人専用のカジノを作ることもありでしょう。
円高でも観光客が押し寄せるような魅力ある観光資源を開発することも必要です。スイスだって通貨は高くとも、観光業は盛んです。
国内市場の拡大、需要の喚起は非常に困難です。ですから奇策というような手段を含めて、あこれをアイディアを出すべきです。
金融政策をいじくって需要が拡大し、景気が回復するならば誰も苦労はしません。
投票する前に以下の本を読むことをお勧めします。
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
【次期輸送機XC-2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(上)】――緊急性はあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012112000007.html?iref=webronza
次期輸送機XC-2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(中)】――急ぐべきは偵察システム
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012120500005.html?iref=webronza
もう一つのUH-X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(下)(2012/11/01)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012102600008.html
もう一つのUH-X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(上)(2012/10/29)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012103100007.html
またエコノミストにもそれを支持する人が多数います。
でもそうでしょうか。
かつてのインフレ時代、一般的に物価の上昇に併せて給料があったことはありませんでした。ましてや物価の上昇よりも大幅に給料があがるなんてありませんでした。まあ、バブルで儲けたり、急成長の一部の景気のいい企業は別ですが。
インフレで生活が所得が増えて景気がよくなるならば、物価の上昇よりも給料や所得があがらないとなりません。ですが安倍総裁はそのような保障を説明してくれません。
できないからです。
また円安になって製造業が儲かるというのもその限りではありません。製造業が製品の100パーセントを輸出しているわけではありません。輸出を全く行っていないメーカーも多数存在します。
輸出を全くしない企業、これに農家などを加えていいのですが、円安、インフレになると材料費や光熱費などの支出が増えます。
例えば現在100円のコストで生産し、200円で売っている製品のコストが150円になるとしましょう。その場合300円で売ればいいのですが、その通りにはなりません。
これは製造業だけではなく、運送会社などでも同じです。
少し前の原油高、食料品高の時代、メーカーは消費者や顧客に転嫁できませんでした。売値を上げたり、内容量を減らすと消費者は商品を買ってくれませんでした。結局売り上げを減らして減収となった企業が多くありました。
例えば日本であるいは世界でその会社しか製造していない製品であれば、値上げは可能でしょうが、競合がひしめく市場での製品では安易な値上げはできません。
インフレというのはお金よりもものの価値が高くなることです。現金を握っているよりも、それをものに換えた方が儲かる、得するということです。
ですが、そのようになるでしょうか。安易な円安誘導はエネルギーや原材料などの「川上」のインフレを招きますが「川下」でもインフレになるでしょうか。
かつてのように不動産がドンドンあがるでしょうか。
そんなことは無いでしょう。国内マーケットは少子化で家は余っています。昔のような「土地神話」、「持ち家信仰」は消えました。未だに信じている人はいるでしょうが、家を買わないといけないという同調圧力はありません。
「神話」と「信仰」が無い限り、不動産がドンドン値上がりするようなことはおこりません。
また「三種の神器」やピアノを買わなくちゃいけないというせっぱ詰まった消費欲求もありません。冷蔵庫にしてもクーラーにしてもあって当たり前、安くて当たり前で、給料の何ヶ月分をはたいて買うものではなくなりました。
また若い衆にしてもぼくらの20代ころのようにスキーに行かなくちゃならない、デートのためにクルマを買わなくちゃいけないといいう強迫観念はありません。
大手企業は金が余っていますが、安易にそれを使いません。
未だに設備投資を云々する人がいますが、市場が大きくならないのに積極的に設備投資をする会社はありません。
そもそも本当に円安になるんでしょうかねえ。米国も欧州も、中国も大変です。中進国もその余波をうけて大変です。ブラジルやロシアなんぞも資源が安くなって大変です。これらの国々の通貨は下がると思いますが、円をどうやってそれよりも安く誘導するんでしょうか。
輸出にしても現在世界最高水準の日本の人件費ではいくら円安になっても中進国と同じ土俵に立っても勝てないでしょう。かつては途上国は生産されなかった、自動車や家電なども大量に生産されています。日本企業の技術的な優位はさしてありません(もっともアイリスオオヤマみたいに、発想を買えて家電に参入する企業もありますが)。
別な分野にビジネスをシフトする、あるいは今まで違った形でのパラダイムを持ち込むことも必要でしょう。
本当に必要なことはマーケットを拡大すること、需要を喚起することです。
ところが自民党は建設国債を刷りまくって、土建屋にばらまくことしか言っていません。あまりに粗雑です。過去延々とその手のばらまきをやってきてたから、国の借金が膨らむだけ膨らんで、景気が一向に回復しなかった。それは自民党の政策のミスです。というよりも支持者にこびて税金を私した結果です。
で、安倍総裁はこれを繰り返そうとしているわけです。
国内の需要を増やすのであれば、一つは女性の労働環境を良くすることです。夫婦共稼ぎで収入が増えれば消費が増えます。
また、外国からのお金持ちの移住を優遇する手もあります。例えば資産10億円を持ち込んだ移住者に関しては10年間所得税を無税にするとか。
単に人口を増やせばいいわけじゃありません。貧乏な移民が増えれば、社会保障費が膨らむだけです。
外国人専用のカジノを作ることもありでしょう。
円高でも観光客が押し寄せるような魅力ある観光資源を開発することも必要です。スイスだって通貨は高くとも、観光業は盛んです。
国内市場の拡大、需要の喚起は非常に困難です。ですから奇策というような手段を含めて、あこれをアイディアを出すべきです。
金融政策をいじくって需要が拡大し、景気が回復するならば誰も苦労はしません。
投票する前に以下の本を読むことをお勧めします。
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
【次期輸送機XC-2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(上)】――緊急性はあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012112000007.html?iref=webronza
次期輸送機XC-2と自衛隊の川崎重工への偏愛について(中)】――急ぐべきは偵察システム
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012120500005.html?iref=webronza
もう一つのUH-X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(下)(2012/11/01)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012102600008.html
もう一つのUH-X疑惑――空自次期救難機を巡る疑問(上)(2012/10/29)
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012103100007.html




この記事へのコメント
安倍さんが支持を得、それを維持し続けるためには、「何でもいいから、何か改革を実行して見せなければならない、それも有権者の大多数に具体的な損をさせないような改革案でなければならない」のですから…
(民主党は既得権益に手をつけて前者に失敗したから失脚し、維新の会はマイノリティを叩いて後者を成功させたから支持を延ばしました)
やはり、政治には実効性より実現性が大事なようです