機動戦闘車はザリガニの「エビフライ」
いつも批判ばかりではなく、多少は自衛隊のことを褒めたらどうだ、というお便りを頂きました。ですが、褒めるところは褒めていますよ。例えば震災の災害派遣で現場は頑張っているとか。
出版の現状として、自衛隊を礼賛する傾向が多いわけです。書き手が欠点を知っていても敢えて書かないことも多々あります。ですから「欠点は存在しない=自衛隊最強、いつも正しい」的な、リテラシーの低い読者が増えているわけです。
実際礼賛的な記事を載せたほうが本にしても雑誌にしても売れる傾向があります。また防衛省や自衛隊もそのような企画であれば取材などの便宜も積極的に図ってくれます。
問題点を知っていても書かない人も少なくありません。
ですからぼくは問題点を指摘する記事を多く書いています。それでもバランスからすると、出版界のバランスを見れば、自衛隊に批判的な記事は著しく少ないわけです。ですからぼくはオンブズマン的な記事を書いているわけです。
ぼくの場合海外取材記事が多く、防衛省に依存することが少いし、別に収入もありますから防衛省の顔色をうかがう必要もありません。ですから過去に何度も防衛省や自衛隊から恫喝や嫌がらせや圧力も受けてきましたが、屈することもありませんでした。好意的な本を書けば買い取ってやるという懐柔もありましたね。そいう誘いに乗っている人もおられるようですが。
そんなわけで仕事のスタイルを変えるつもりは毛頭ありません。
昨日は加山雄三のコンサートに行ってきました。アンコールでスーダラ節が聞けたのが最大の収穫でした。意外に植木等と加山雄三って声の質が似ているんですね。
さて、本題です。
機動戦闘車の開発は機甲科が根回しをして、動きまわって実現しました。
その唯一最大の目的は機甲科の勢力減を防ぐことでした。
ソ連崩壊後戦車の定数が大きく削減されるのは見えていました。1200輌が400輌に減らされると乗員が4名の74式だとして搭乗員だけで3200名、これに整備関連4000名程度、さらにその他の支援部隊や駐屯地、司令部などの人員などが減らされます。
当然ながら将官、将校らのポストも大きく減ります。これは機甲科としては大きな痛手です。
官僚組織の権勢は予算と頭数ですからその両方が大きく減らされるということは、陸自の中での機甲科の発言力が大幅に減じられることになります。
ですから、戦車のようで戦車では無いシロモノを作ろう、となったわけです。例えば戦車が400両で、これに「戦車もどき」の機動戦闘車が200輌(内部ではこのくらい調達する予定だそうです)整備できるのであれば、実質的に「戦車」の数は1.5倍に膨らます事が出来ます。
当然ながらその分、機甲科の「失業」を減らすことができます。
ところが内局や財務省から、あれは戦車だろう、言われてしまっています。機動戦闘車が現在の戦車400輌の定数に入ると、「本物の戦車」が半分に減ってしまいます。
ぶっちゃけた話、機動戦闘車の仕事は中口径の機関砲を搭載した歩兵戦闘車で十分行えます。ですが、それだと普通科に美味しいところを持って行かれてしまいます。また諸外国で開発されているような間接照準もできるような両方砲にすると、今度は特科にも美味しいところが行ってしまい、機甲科はババを引いてしまいます。
ですから機動戦闘車の運用はどこか決まっていない、使うのは戦闘部隊だ、なんぞという世世迷い言を陸幕長が率先して言っているわけです。
これ米軍やら外国の軍人に聞かれれたとっても恥ずかしいですよ。要求をする主体が決まっていないのに、開発しました。使い方は作ってから考えますなんてトンデモもいいところです。
そこらでアメリカザリガニを捕まえて、フライをつくってもこれは「エビフライ」にはなりません。いくらコロモを変えようが、エビフライにはなりません。
それと同じで機動戦闘車は中身が「失業対策」というザリガニであって、自衛隊の強化や国防の強化といったエビではありません。
ですから、いくら島嶼防衛やらゲリコマ対処といったコロモをつけてもエビフライにはなりません。
さて、これで量産の予算が通ったらどうするのでしょうか。仮に普通科が運用するのであれば、機甲科が要求をして、普通科が運用することになります。
それに弾薬補給車の開発と、その分の人員の手当はまだ付いていないはずです。
ネット上ではとにかく国産兵器が大好きな人達が、その正当化に色々な情報や意見を貼り付けています。そもそも機動戦闘車は絶対必要、優秀な兵器だという「結論」から「結論」を見導こうとしています。
諸外国の同様の車輌の開発・運用思想、そして将来の我が国の想定する戦場、更には現在の防衛予算と防衛産業の問題点などから機動戦闘車の是非を問うべきです。
が、はじめに結論ありきの視野の狭い人たちが議論をしても建設的な議論にはなりません。
span style=color:#e00>新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております。http://japan-indepth.jp/?cat=51
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?①
http://japan-indepth.jp/?p=979
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?②
http://japan-indepth.jp/?p=994
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?③
http://japan-indepth.jp/?p=1011
“報道ヘリ”が象徴する大手メディアの問題点〜災害救助の弊害と匿名の無責任体制①
http://japan-indepth.jp/?p=941
“報道ヘリ”が象徴する大手メディアの問題点〜災害救助の弊害と匿名の無責任体制②
http://japan-indepth.jp/?p=950
大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い①|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(3)
http://japan-indepth.jp/?p=900
大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い②|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(4)
http://japan-indepth.jp/?p=906
大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い③|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(5)
http://japan-indepth.jp/?p=909
陸自の新兵器、機動戦闘車は無用の長物
http://japan-indepth.jp/?p=755
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(上)――不足する情報収集
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102300007.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(中)――参考になる英海兵隊
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102400005.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(下)――自衛隊はプロ集団の英海兵隊に学べ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102500005.html?iref=webronza
出版の現状として、自衛隊を礼賛する傾向が多いわけです。書き手が欠点を知っていても敢えて書かないことも多々あります。ですから「欠点は存在しない=自衛隊最強、いつも正しい」的な、リテラシーの低い読者が増えているわけです。
実際礼賛的な記事を載せたほうが本にしても雑誌にしても売れる傾向があります。また防衛省や自衛隊もそのような企画であれば取材などの便宜も積極的に図ってくれます。
問題点を知っていても書かない人も少なくありません。
ですからぼくは問題点を指摘する記事を多く書いています。それでもバランスからすると、出版界のバランスを見れば、自衛隊に批判的な記事は著しく少ないわけです。ですからぼくはオンブズマン的な記事を書いているわけです。
ぼくの場合海外取材記事が多く、防衛省に依存することが少いし、別に収入もありますから防衛省の顔色をうかがう必要もありません。ですから過去に何度も防衛省や自衛隊から恫喝や嫌がらせや圧力も受けてきましたが、屈することもありませんでした。好意的な本を書けば買い取ってやるという懐柔もありましたね。そいう誘いに乗っている人もおられるようですが。
そんなわけで仕事のスタイルを変えるつもりは毛頭ありません。
昨日は加山雄三のコンサートに行ってきました。アンコールでスーダラ節が聞けたのが最大の収穫でした。意外に植木等と加山雄三って声の質が似ているんですね。
さて、本題です。
機動戦闘車の開発は機甲科が根回しをして、動きまわって実現しました。
その唯一最大の目的は機甲科の勢力減を防ぐことでした。
ソ連崩壊後戦車の定数が大きく削減されるのは見えていました。1200輌が400輌に減らされると乗員が4名の74式だとして搭乗員だけで3200名、これに整備関連4000名程度、さらにその他の支援部隊や駐屯地、司令部などの人員などが減らされます。
当然ながら将官、将校らのポストも大きく減ります。これは機甲科としては大きな痛手です。
官僚組織の権勢は予算と頭数ですからその両方が大きく減らされるということは、陸自の中での機甲科の発言力が大幅に減じられることになります。
ですから、戦車のようで戦車では無いシロモノを作ろう、となったわけです。例えば戦車が400両で、これに「戦車もどき」の機動戦闘車が200輌(内部ではこのくらい調達する予定だそうです)整備できるのであれば、実質的に「戦車」の数は1.5倍に膨らます事が出来ます。
当然ながらその分、機甲科の「失業」を減らすことができます。
ところが内局や財務省から、あれは戦車だろう、言われてしまっています。機動戦闘車が現在の戦車400輌の定数に入ると、「本物の戦車」が半分に減ってしまいます。
ぶっちゃけた話、機動戦闘車の仕事は中口径の機関砲を搭載した歩兵戦闘車で十分行えます。ですが、それだと普通科に美味しいところを持って行かれてしまいます。また諸外国で開発されているような間接照準もできるような両方砲にすると、今度は特科にも美味しいところが行ってしまい、機甲科はババを引いてしまいます。
ですから機動戦闘車の運用はどこか決まっていない、使うのは戦闘部隊だ、なんぞという世世迷い言を陸幕長が率先して言っているわけです。
これ米軍やら外国の軍人に聞かれれたとっても恥ずかしいですよ。要求をする主体が決まっていないのに、開発しました。使い方は作ってから考えますなんてトンデモもいいところです。
そこらでアメリカザリガニを捕まえて、フライをつくってもこれは「エビフライ」にはなりません。いくらコロモを変えようが、エビフライにはなりません。
それと同じで機動戦闘車は中身が「失業対策」というザリガニであって、自衛隊の強化や国防の強化といったエビではありません。
ですから、いくら島嶼防衛やらゲリコマ対処といったコロモをつけてもエビフライにはなりません。
さて、これで量産の予算が通ったらどうするのでしょうか。仮に普通科が運用するのであれば、機甲科が要求をして、普通科が運用することになります。
それに弾薬補給車の開発と、その分の人員の手当はまだ付いていないはずです。
ネット上ではとにかく国産兵器が大好きな人達が、その正当化に色々な情報や意見を貼り付けています。そもそも機動戦闘車は絶対必要、優秀な兵器だという「結論」から「結論」を見導こうとしています。
諸外国の同様の車輌の開発・運用思想、そして将来の我が国の想定する戦場、更には現在の防衛予算と防衛産業の問題点などから機動戦闘車の是非を問うべきです。
が、はじめに結論ありきの視野の狭い人たちが議論をしても建設的な議論にはなりません。
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自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?①
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自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?③
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“報道ヘリ”が象徴する大手メディアの問題点〜災害救助の弊害と匿名の無責任体制①
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“報道ヘリ”が象徴する大手メディアの問題点〜災害救助の弊害と匿名の無責任体制②
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大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い①|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(3)
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大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い②|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(4)
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大手新聞も混同「武器輸出三原則」と「武器輸出三原則等」の大きな違い③|[連載]清谷信一「自衛隊の常識は軍隊の非常識」(5)
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陸自の新兵器、機動戦闘車は無用の長物
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機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(上)――不足する情報収集
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陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(中)――参考になる英海兵隊
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陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(下)――自衛隊はプロ集団の英海兵隊に学べ
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この記事へのコメント
実際に編成されたら「第○○機動戦闘車大隊」とかいう名称になるんでしょうかね。
現場で仕事する隊員にしたら職種バッヂが普通科でも、あんまし関係ないと思いますがねえ。
どうせ仕事も訓練も同じなんだし。
あーでも、次の異動先が普通科のナンバー中隊で鉄砲担ぎとかだったらやっぱり嫌かなあ。
今さら車を降りて歩けるかってのはあるかも知れません。
カネもないんだから、せめて需要のあるモノを買えば良いのに・・・
今、中国は、海空かよ強化しています。
なぜ、自衛隊は、海空自衛隊じゃなくて、陸自の強化なんですか?
税金の無駄遣いのような気がします
4両4小隊。1個普通科連隊に1個小隊だな。
っと妄想。確かにこの正面装備は必要ないよね。
>きらきら星さん
機甲科は偵察隊も居るので鉄砲持って歩きたくない人はどうかと
機甲科なら少なくとも機甲MOSは持ってるし機甲教育隊の偵察(機)も富士学校の偵察(普)とは内容も違うのでは?
機甲が欲しがったのか普通科が嫌がったのかにも寄りますけどね
存じております。現地で食べたこともあります。
ここでのイメージはそこらの田んぼで取ったアメリカザリガニでフライを作っても「エビフライ」にはならないよ、というところです。
かつて日本海軍は装甲空母大鳳と装甲空母の飛行甲板に大型爆弾を叩きつける陸爆銀河を作ったと聞いた事があります。今度陸自は水陸両用車を導入したので、上陸してくる敵の水陸両用車を狙い撃つために機動戦闘車を作ったのかなとも思ったりします。
・水陸両用車は陸上の機動性はそれ程高くないので装輪で差を付ける。
・水陸両用車はMBTではないので105ミリ砲で撃破可能。
・90式もしくは10式戦車は敵のMBTに対抗するために温存(敵のMBTは敵が橋頭堡を確保した後でないと上がってこない?)。