【続報】陸自は戦車が300車輛「も」あっても使いこなせない。 その2・現実を見よ。

前回「陸自は戦車が300車輛「も」あっても使いこなせない」を書きました。
https://kiyotani.seesaa.net/article/201312article_2.html

追加したいことがいくつかあります。

2010年のBSフジLIVE プライムニュース7月15日『それでも戦車は必要か 日本の戦略と予算の壁 中谷元・元防衛庁長官』に中谷元元防衛庁長官、冨澤暉元陸上幕僚長らと出演しました。その時最後にフリップに「現実を見よ」と書きました。

 前回のエントリーをご覧になれば何故「現実を見よ」と書いたかご理解いただけるのではないでしょうか。

 現状90年代に調達された90式戦車ですらまともな近代化は行われておりません。
 しかも90式を採用するときに陸幕も防衛省も、「この戦車は北海道専用です。内地で使ううには重すぎ、大きすぎて無理です」と説明はしていませんでした。
 納税者にも政治家にも正しい知識を伝えずに、開発、生産しちゃったわけです。
 ダマされる政治家の程度が低いのも問題ですが、馬鹿な政治家は騙してやれという防衛省や陸幕の体質は文民統制の見地から許されるものではありません。

 74式戦車は国鉄の貨物列車で運ぶことを前提にサイズが決定されましたが、有事に国鉄で運ぶことは法的に担保されていませんでした。つまり架空の条件で仕様が決定され、開発されたわけです。
 おとぎ話を元にあるいは、戦時には脱法行為(国鉄に銃を突きつけて戦車を運ばせる)ことを前提に開発したわけで、これまた文民統制上どうよ?という話です。

 90式については開発後に高価格と重量過重について陸幕で会議が持たれました。10式開発中心人物大内氏もその場にいました。
 その会議の出席者によると、出席者からは「値段が高過ぎるからサーマル-メージャーを取ろう」とか、「重すぎるから105ミリ砲に換装しよう」とかいう意見が出て、呆れたそうです。
 そうれであれば74式の近代化で良かったではないか、ということです。この方は現在現役を退いていますが、雑誌などに寄稿している方です。

 このレベルの人達が10式を開発したわけです。まともな戦車ができるはずはないでしょう。

 件の番組ではこういう事実に目を向けず、陸自幹部出身の元防衛庁長官や陸幕長が、ロシアが師団単位で上陸してくる危険性があるから、港湾を占領されたら無制限に戦車は揚陸できると主張していました。

 ロシアが師団単位で揚陸作戦をするなんぞ、火星人が攻めてくるというのと同じくらい荒唐無稽な話です。漢和インフォメーション・センターの代表であるピンコフがロシアの将軍と話をした時に、日本に対する侵攻計画を策定したことがあるかと尋ねたら、ソ連崩壊後、一度もないと話していたと言っておりました。ロシアにそんな余裕はありません。欧州、カフカス、中東、中国に対応するのが手一杯です。


 予算の上限も考えずに、有りもしない脅威を煽り立てて、自分たちの利益のために必要性の低い年度末の公共事業のような装備を大量に調達すべきと主張するのは責任ある立場の人物のすることではないでしょう。
 政治家や元将軍が2ちゃんねるあたりで与太を飛ばしている輩と同じ目線で国防を語る、あるいは彼らに迎合するのは極めて危険です。


 中谷氏が農業予算や社会保障費を3兆円ほど削って、それを陸自に突っ込めとでも言うならば別ですが、予算の裏付けもないのに景気のいい話をするのは元自衛官として、政治家して無責任です。それは予算の裏付けもないのに福祉を増やせと主張する共産党や社会党と同じです。

 現実は陸自機甲部隊は骨董品だらけの全世紀の遺物です。いくら新型戦車をいれても古い装備に脚を引っ張られてまともな戦闘はできません。

  しかも弾も弾薬も食料もマトモに調達ができない有り様です。現在の陸自、特に機甲部隊には近代戦を行うことは不可能です。それどころか継戦能力も殆どありません。

 ですから「現実を見よ」とフリップに書いたわけです。 

 それから巷では中国の設定した防空識別区の件で大騒ぎですが、これって既にKanwa Aisan Defence の8月号のトップ記事で掲載されていました。ですが、日本のメディアで後追いをしたところは無かったようです。
 さらに言えば、3月辺りに自衛隊の元将官らが中国に行った際に、先方の将軍がそれらしい話もしたいたそうです。ですから、寝耳に水という話ではなかったはずなのですが、マスメディアのアンテナの感度には問題はないでしょうか。
 


  
>新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております

防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか①〜リモート・ウェポン・ステーションとは何か?
http://japan-indepth.jp/?p=1703

防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか②〜必要な調達をする気のない自衛隊と必要ない装備を技術実証する技術研究本部の悪すぎる連携
http://japan-indepth.jp/?p=1720

防衛省・技術研究本部の海外視察費はわずか92万円〜写真やカタログだけで十分な開発ができるのか?(1/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1750

防衛省・技術研究本部の海外視察費はわずか92万円〜写真やカタログだけで十分な開発ができるのか?(2/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1758


[仏パリ“ミリポール”リポート]防衛産業の輸出を阻害しているのは防衛産業を擁する大企業トップの無知蒙昧と保身
http://japan-indepth.jp/?p=1508


朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?


アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza

この記事へのコメント

みけねこ
2013年12月07日 20:43
まあ、現場警察官の不祥事がおおすぎるからといって、リボルバーにかぎを付けたモデルを特注して輸入するくらいですから、役人のセンスなんぞ、追及するべきものか、いわずもなかです。

旧日本軍の戦車が港湾施設や大陸の道路状況に考慮して設計されていたそうなので、その思想が戦後戦車の設計に影響したのかも知れませんが、想定している事態に対応しうる装備を持った部隊を適切に運用しなければ、作戦は破綻することくらい経験を積まなくともわかりきっています。
いまの官僚には、それがわかっているのか
陸軍解体
2013年12月08日 11:36
諸悪の根源は陸幕だと思います。だから解決策は一つです。

陸幕の廃止です。その後、陸自は解体縮小。

各要素を海空自衛隊に編入すればよいのです。つまり海兵隊と空兵隊を創設するのです。

島嶼防衛から基地拠点防衛と、陸自が担う部分が最初から海空の指揮系統に入り非常にシンプルになります。統合運用もよりシンプルになる。

何より今よりは敵に接して活動する海空自衛隊の管理下で陸上兵力が運営されれば現状よりは馬鹿なことは減るでしょう。

また無駄に多い、陸自の高級幹部・バカみたいに多い司令部関係をリストラするだけで多くの予算が節約できるし、海空不足分野に人員も回せる。

陸自廃止これこそ最高の改革です。
シーバスリーガル
2013年12月08日 13:35
初年度30両次年度26両以降20両以下の調達しか行っていないのを大量調達と言われても違和感があります
寧ろ批判すべきはソ連崩壊により脅威度が減り、充足の進捗を怠ったことにあると思いますがね
ひゃっはー
2013年12月09日 21:53
陸上自衛隊って時々、宗教団体のようにも思えてきますね。「なぜ、必要性の薄い10式戦車を導入するのか?」という疑問に対しては、「あれは戦車の『式年遷宮』だからだ」と説明できますし(?)、「自衛隊の下士官は世界一優秀」という「神話」がありますし、「自閉隊」で外の世界に興味がないし。
まあ、どこの組織にも多かれ少なかれ、そうした宗教的な要素というものはあるのでしょうけれど。
ひゃっはー
2013年12月10日 11:34
そういえば、有りもしない外部からの脅威を煽り立てる、というのも狂信的な、失礼、熱心な宗教団体の特徴でしたね。
うーんこの連中
2013年12月12日 21:29
陸幕廃止だのここのコメントはなかなかサイコな連中がいますなぁwww
ひゃっはー
2013年12月13日 13:14
陸幕廃止は本当に有り得ない話でしょうか。
私はそうは思えません。それは、かつての社会保険庁がどうなったかを見れば明らかですし、幕末に武士が役に立たなくなったから、新撰組や奇兵隊が出来て、最後に幕府が大政奉還したという歴史もあります。

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