インドで飛行艇生産US-2を政府が検討 たぬきの皮算行は上手く行くか?
日印両政府は日本からインドへの輸出を目指している海上自衛隊の救難飛行艇「US―2」について、インドで現地生産することも含めて検討する。これまでの政府間協議で1機100億円を超える価格の高さが課題として浮上。
インドで飛行艇生産、政府検討 売り込みへ費用抑制
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2600V_W4A120C1PE8000/
インドは外国の防衛装備に関して、政策的に技術移転やオフセットを強く要求する国です。輸出国が辟易するくらい要求が強いのですが、しかも一旦合意したことがひっくり返されたりすることも多々あります。5年も6年も引きずり回されて、結局プロジェクトはキャンセル、なんて話も少なくありません。
ですから兵器産業界ではインド商戦にげんなりしている会社も多いのですが、決まれば売上は大きいので無視もできないという状況です。
で、US-2の現地生産ですが、どの程度実現性があるかというと、あまりないと思います。インドで何十機も必要ないでしょうから量産効果はさほど期待できないでしょう。
確かにインドの人件費は中国よりも安いのですが、工作機械やジグなどの導入費用もかかります。ですからあまり価格は低減できないのではないでしょうか。
熟練工のレベルも品質管理のレベルも低いので、完成した飛行艇の品質にも問題が生じる可能性があります。インドで開発されている戦車だの、ヘリコプターなど、トラックだのレベルを見るとよくわかります。
インドで極めて高い技術を要する飛行艇を生産することの技術的なリスクはかなり大きいと思います。何か問題があったら日本のせいにされる可能性も少なくありません。
ライセンス生産ではなく、ノックダウン生産方式でも、先に述べたように機数が対して望めるわけでなく、設備投資が必要ですから、さほどコストダウンに繋がる可能性はないでしょう。
US-2は現在2年に一機ペースの生産であり、新明和のラインは事実上試作工場みたいなものです。ですから、新明和で年に3機ぐらいのペースになればかなりコストは下がると思います。これを輸出した方がリスクも少ないし現実的かと思います。
それでインドでの機体コンポーネントの生産を何割か行うぐらいが落とし所ではないでしょうか。
そうすれば自衛隊向けの機体の単価も大幅にさがります。
もっともインドの要求は価格だけではなく、技術移転もでしょうから、それをどの程度先方が
欲しているかの見極めが必要でしょう。
どうしても実績が作りたいというのであれば、ODAで色をつけるとか別のところで飴玉を用意する方が宜しいのではないでしょうか。
US-2の案件は経産省にとってはオールジャパンの装備輸出スキーム構築のための「お勉強」と割り切っている部分があります。成功すればめっけものだというぐらいではないでしょうか。
それとUS-2は人寄せパンダとして有効でしょうから、各国で行われている航空ショーに積極的に実機を出し、デモフライトもさせるべきです。海上自衛隊の機体を訓練目的で派遣すべきです。かつて英国のエアタトゥーに空自のK-767を出したことがありますから不可能ではないはずです。
それが日本の航空産業のプレゼンスのアピールになるはずです。
予算は防衛省ではなく、経産省なり内閣府から出せば宜しいでしょう。
ぼく個人としてはインド人と商売はしない主義です。アラブ人と商売する方が何倍もマシです。
新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない①
http://japan-indepth.jp/?p=2962
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない②
http://japan-indepth.jp/?p=2967
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘①
http://japan-indepth.jp/?p=2899
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘②
http://japan-indepth.jp/?p=2902
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか①
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか②
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか③
http://japan-indepth.jp/?p=2234
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
オスプレイはいっそのこと、政府専用機にhttp://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011600005.html
陸自向けのオスプレイ導入は「裏口入学」だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011500004.html
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html?iref=webronza
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?
アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(下)――高いコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110700008.html
林信吾との共著、真・大東亜戦争全17巻です
インドで飛行艇生産、政府検討 売り込みへ費用抑制
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2600V_W4A120C1PE8000/
インドは外国の防衛装備に関して、政策的に技術移転やオフセットを強く要求する国です。輸出国が辟易するくらい要求が強いのですが、しかも一旦合意したことがひっくり返されたりすることも多々あります。5年も6年も引きずり回されて、結局プロジェクトはキャンセル、なんて話も少なくありません。
ですから兵器産業界ではインド商戦にげんなりしている会社も多いのですが、決まれば売上は大きいので無視もできないという状況です。
で、US-2の現地生産ですが、どの程度実現性があるかというと、あまりないと思います。インドで何十機も必要ないでしょうから量産効果はさほど期待できないでしょう。
確かにインドの人件費は中国よりも安いのですが、工作機械やジグなどの導入費用もかかります。ですからあまり価格は低減できないのではないでしょうか。
熟練工のレベルも品質管理のレベルも低いので、完成した飛行艇の品質にも問題が生じる可能性があります。インドで開発されている戦車だの、ヘリコプターなど、トラックだのレベルを見るとよくわかります。
インドで極めて高い技術を要する飛行艇を生産することの技術的なリスクはかなり大きいと思います。何か問題があったら日本のせいにされる可能性も少なくありません。
ライセンス生産ではなく、ノックダウン生産方式でも、先に述べたように機数が対して望めるわけでなく、設備投資が必要ですから、さほどコストダウンに繋がる可能性はないでしょう。
US-2は現在2年に一機ペースの生産であり、新明和のラインは事実上試作工場みたいなものです。ですから、新明和で年に3機ぐらいのペースになればかなりコストは下がると思います。これを輸出した方がリスクも少ないし現実的かと思います。
それでインドでの機体コンポーネントの生産を何割か行うぐらいが落とし所ではないでしょうか。
そうすれば自衛隊向けの機体の単価も大幅にさがります。
もっともインドの要求は価格だけではなく、技術移転もでしょうから、それをどの程度先方が
欲しているかの見極めが必要でしょう。
どうしても実績が作りたいというのであれば、ODAで色をつけるとか別のところで飴玉を用意する方が宜しいのではないでしょうか。
US-2の案件は経産省にとってはオールジャパンの装備輸出スキーム構築のための「お勉強」と割り切っている部分があります。成功すればめっけものだというぐらいではないでしょうか。
それとUS-2は人寄せパンダとして有効でしょうから、各国で行われている航空ショーに積極的に実機を出し、デモフライトもさせるべきです。海上自衛隊の機体を訓練目的で派遣すべきです。かつて英国のエアタトゥーに空自のK-767を出したことがありますから不可能ではないはずです。
それが日本の航空産業のプレゼンスのアピールになるはずです。
予算は防衛省ではなく、経産省なり内閣府から出せば宜しいでしょう。
ぼく個人としてはインド人と商売はしない主義です。アラブ人と商売する方が何倍もマシです。
新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない①
http://japan-indepth.jp/?p=2962
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない②
http://japan-indepth.jp/?p=2967
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘①
http://japan-indepth.jp/?p=2899
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘②
http://japan-indepth.jp/?p=2902
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか①
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか②
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか③
http://japan-indepth.jp/?p=2234
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
オスプレイはいっそのこと、政府専用機にhttp://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011600005.html
陸自向けのオスプレイ導入は「裏口入学」だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011500004.html
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html?iref=webronza
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?
アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(下)――高いコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110700008.html
林信吾との共著、真・大東亜戦争全17巻です
この記事へのコメント
>ぼく個人としてはインド人と商売はしない主義です。アラブ人と商売する方が何倍もマシです。
あはははは、その感じわかります♪
でも、サウジ人はまたアレですよねぇ、
アジアやアフリカで会った白人連中ことごとく「アメリカ人は嫌い」だったのですが、
東南アジア西アジアで会った者達で、サウジ人を嫌いで無いと言った者を見たことなかったすねー
他のアラブ系に対しては個人個人のそれぞれの感想でしたが。
インドのポーターがサウジ人に負けているのを見たことありますwあのインドのしかもポーター(タクシー運チャンらと良い勝負のツワモノぞろいw)
また、日本人はインド人相手に勝てないですよ。
かつてのラッパロ協定のように、日本でできない事をインドをかませる事でできるようにならないでしょうか。例えばインド向けに(と称して)対テロ・対海賊用として(名目で)防弾装備付き、機銃付き、ミサイル及び魚雷発射可能なUS-2を作って、それを日本にも入れるといった形で。中国はゲリラ戦好みですので、(日本の好きな)ハイテク・高性能兵器よりも案外こういった兵器(?)の方が有用かも知れません。
つまり、日本が、整備を請け負う。
輸出というヨリは、リースかな。
転売を防げるし、技術を守り。
輸出したところであんまりカネにはなりませんね。
使ってる技術自体は凄いらしいから、やはりアドバルーン的な役割を期待されているのかしら。
US1はグラマン社の提供がなければできなかった
12.7ミリのライセンス製造もできなかった日本がインドの戦車にケチをつけるなど滑稽だし
清谷さんみたいな人種偏見者とはインド人も商売お断りですよ
これって本当に捜索救難用オンリーなのかなあ?
これだけ買うということは武装した上で哨戒任務にも使う気なんじゃないですか。
たしか紛争当事国か紛争の恐れのある国や地域には輸出しないとかいう縛りがあったはずですが。
まあどうせそのうちなし崩しになるのでしょうけど。