財政制度分科会(令和3年11月15日開催)防衛関連資料を読むその17人材編その1

財政制度分科会(令和3年11月15日開催)の防衛に関する資料、参考資料を解説評論していきます。今回は17回目です。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20211105zaiseia.html

「資料」と「参考資料」2つがあります。まずは資料の方から見てみましょう。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20211115/01.pdf

人材編その1です。

柔軟かつ有効的な人材活用①(P27)
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○ 「少子高齢化による生産年齢人口の減少」や「新領域(宇宙・サイバー・電磁波)における優位性の確保」など、あらゆる課題への対応が求められる中、量的なものだけに着目するのではなく、人材配置の適正化など能力を最大限に引き出す組織体制が求められる。

○ 現状の隊員配置は、海上自衛隊を例にとると、
① 艦船の乗員の不足が問題化している一方、
② 後方支援部隊などでは過充足(約130%)が発生するなど、アンバランスな状態。このアンバランスの原因の一つとして、硬直的な人材運用(慣習的な定数配分や縦割りの人事など)が考えられ、限られた人材を有効に活用するためにも、運用の見直しが必要。

〇 見直しに当たっては、重要な部門に人材を配置する一方で、後方支援業務を中心とした陸・海・空3自衛隊の業務等の標準化・定型化、自衛隊間のクロスサービスの導入等を検討するなど、人事配置の柔軟性を高めるための視点が必要ではないか。
我が国の少子高齢化は待ったなしです。労働人口が減少する中自衛官の人材確保も真剣にならざるを得ません。特に最短二年間の任期制自衛官の採用は苦労しています。ところが防衛省や自衛隊にはその認識が甘いように思えます。


上記のように艦艇の乗組員が不足するなか、オカの仕事では過剰になっています。
これでいて海自が人員を増やせというのは厚かましい話ではないでしょうか。
これは縦割りの問題もありますが、乗組員の仕事が不人気だということも大きいでしょう。
ヘリ部隊では技量が高くても船酔いするので、艦載ヘリに乗るのは無理という搭乗員もいます。その一人は退官して無人機のパイロットになりました。

人材確保のためには艦艇の完全クルー制の導入も視野に入れるべきです。例えば全ての艦艇で2クルー制度を導入する。クルー制度を導入すると人員は単純に二倍になりますが、海上勤務の期間は減らせてクルーの消耗を防げます。また艦艇の稼働率がありますから、たとえば現状12隻必要な艦種が8隻で済むかもしれません。その予算は人件費に回せます。
また負担が減れば中途離職も減らせるでしょう。
そもそも確保できる人員以上の艦艇を維持しようとしても、定員不足、稼働率低下がひどくなれば無いのと同じです。

艦艇の乗組員には外国人の採用も考慮すべきです。任期自衛官として採用して、一定年勤務すれば永住許可を与えたり、幹部への登用も行うべきです。


Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
新聞が誤報する史上最大の防衛補正予算
https://japan-indepth.jp/?p=63181

この記事へのコメント

偽陸士
2021年12月15日 13:08
艦載ヘリのパイロットが、無人機パイロットに。

当人にとっても不本意でしょうし、折角育成したパイロットを活かせないのは勿体無い話しですね。

仕事とはこんなものだとか、当たり前だとか、やむ得ない、仕方の無い話だとか、日本人は固定観念が強すぎる上に思いやりに欠ける傾向が有る。

今の日本に必要なのは、軍人同盟よりも常識を教えてくれる軍事顧問団です。

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