ウクライナに供与した防弾チョッキ3型は改良型の新型、防弾チョッキ3型改

昨日陸幕長および、統幕長会見に参加しました。
両方で、先週金曜日の大臣会見のぼくの、大臣に防弾チョッキやヘルメットの供与後の調査をしないのか、という質問に対して、大臣は日本の装備は優秀だから実戦データ収集をする必要はないやらやらないと、おっしゃったことについて質問しました。

防衛装備にしろ、他の工業製品にしろ、完璧な製品はありません。仮に完璧でも環境や時代が変わると「完璧」ではなくなります。
そして我が国の装備は実戦も市場での淘汰も経験していないわけです。
自国装備を実戦で評価する機会があれば拒否する軍隊はないはずです。
これは軍隊の常識です。

実質的な国軍である自衛隊を率いる大臣が、国産装備は完璧だから実戦データは必要ないというのは軍事に対して無知であると公言しているに等しいわけです。制服組は大臣にきちんとインフォームしているか、というお話を尋ねました。

ましてぼくが指摘するまで陸自のフェースト・エイド・キットは包帯、止血帯各一個だけのおそまつなもので、陸幕は国内には病院がいっぱいあるからいいのだと言っていたわけです。隊員が死傷しないことを前提とした組織がまともな防弾装備をつくれるのかがそもそも疑問となるところです。

陸幕長の会見時に、防弾チョッキ3型にはサイドプレートがなく、乗車時に側面から射撃されると防御できないと指摘したところ、ウクライナに供与されたのは改良型の防弾チョッキ3型改であるとのお話でした。
これはサイドプレート、股間防御用プレートなど増加の防弾プレートが装備されています。
IMG_9320.JPG
確かに防弾力は強化されますが、重量は増大しているはずです。
であれば拠点防御や車輌搭乗員ならばいいでしょうが、下車歩兵にはいい装備とはいえないでしょう。
そして陸自は未だ諸外国では途上国含めて標準装備となっているプレートキャリアを装備していません。防弾チョッキ3型を改良するよりも、他国と同じ標準化されたプレートを
装備するプレートキャリアにサイドプレートを装着できるようにしたものを導入するべき
だったと思います。

米軍の他、英仏壕軍とも共同訓練を行っているのに何で自分たちだけプレートキャリアを装備していないのか不思議に思わないのでしょうか。であれば想像力や関心が完全に欠落していると思います。

さて統幕長会見後に、平尾和久広報室長がお見えになって、お話をして一応前回のことは和解しました。挨拶に行ったときのことは、そもそも現在は報道室は防衛省職員以外対地入り禁止になっており、当時センシティブな電話をしており、それで入ってきたことことに驚いた仰っていました。
確かにそのような張り紙がされていました。それで逡巡していたのですが、記者クラブの記者が平気で入っていったのでぼくも入室したという次第です。彼のゼスチャーはぼくだけではなく、記者クラブの記者にも向けたものだったということでした。

で、互いに誤解や言い過ぎもあったということで一応の和解をみたわけです。
ですが、そのやり取りの横で、陸幕広報室のスタッフが、幕僚長が先の会見で述べていた、本年度の演習についての資料を配っておりました。これからそのレクチャーをやる、というお話でしたが、記者クラブ非会員のぼくはこの件の情報をもらっていませんし、陸幕のスタッフは記者クラブ向けだと明言していました。

つまり、未だに記者クラブと非会員への待遇差別、情報格差は健在ということです。
ですから、今後も引き続き記者クラブ問題は取り上げていくつもりです。

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大、自衛隊中央病院、各地自衛隊病院、陸海空医学実験隊、衛生学校などは精
神疾患などを抱えた問題医官の収容地になっている、との噂。

この記事へのコメント

やれやれ
2022年04月15日 13:26
三型改ですか。
従来型よりはマシでウクライナの人も一安心?
装備に関しては訓練に支障が出なければOKと
言う事なのでしょう。
他国との装備共通化は正直どうでも良いのでしょう。
国産メーカーに仕事も出さないといけませんし(呆)。


■本日の市ヶ谷の噂■
えっと医官用の精神病院に成り下がって?
いると言う事でしょうか…
ミスターフリゲート
2022年04月15日 13:31
>ましてぼくが指摘するまで陸自のフェースト・エイド・キットは包帯、止血帯各一個だけのおそまつなもので、陸幕は国内には病院がいっぱいあるからいいのだと言っていたわけです。

これホント粘り強く指摘してなければヤバかったですね。プレートキャリアにもガンガンツッコミを入れていってください。そしてオチは報道室長の話。ターゲットはキングスカレッジの彼から変更的な。

市ヶ谷
ヤバいとしか言えないです
Goodman80
2022年04月15日 15:56
外交安保取材 ウクライナ陸軍奮戦 日本の「陸自削減論」は正しいのか
https://article.auone.jp/detail/1/2/3/221_3_r_20220415_1649999631646539
産経新聞の記事らしいんですが、
>防衛費の対国内総生産(GDP)比2%の達成は、それを実現するための最低限のハードルといえる。(石鍋圭)
ってマジですか?先ずはちゃんとした国家戦略を元にしたちゃんとした防衛計画に基づく兵員の配分、配置。ちゃんとした装備を兵員に支給し、ちゃんとした兵器をちゃんとした価格でちゃんとした期間に取得し、順次改修できる様にする事が先でしょう。
予算だけ増やしてドブに投げ捨てる様な今の状態では時代遅れのゴミ兵器を押付けられて、演習にさえ苦労する未来しか見えない。
ひゃっはー
2022年04月15日 23:23
陸自の幹部候補生学校には、かつて衛生学校の職員だった見岡貴章という教官がいるのですが、頭がいかれていますものね。
移動中のバスの車内では上司の悪口をずーと幹部候補生相手にまくし立てていたそうですし、自分の嫌いな上官には、いくら怒られても敬礼を絶対にしませんもの。そのおかげで休職させられても全く反省していませんし。
自分は戦史の専門家だという強烈な自負がある割には、天智天皇が即位していた時代は奈良時代だと思っている。天智天皇は難波宮から平城京に遷都したとでも思っているんでしょうか? そして韓国人は気違いだ、みたいなことを平気で言う差別主義者ですし。だから日本人の戦没者の慰霊碑には熱心に頭を下げるのに、朝鮮人の戦没者の慰霊碑は完全に無視しますものね。
清谷さんの「市ヶ谷の噂」は多分本当でしょう。見岡貴章がいい例です。
KU
2022年04月16日 08:04
>>>実戦データ

さすがわ調達自体が目的化している、お買い物官庁だけはありますね(^_^;)。どんなガラクタだろうが、国産というだけで他国の何倍もの価格と時間を掛けて調達することが、いかに異常か全く理解出来ていないんだから、始末に負えませんやね。

>「日本はウクライナより弱い」元陸将が危惧する自衛隊の現状...戦車はたった300両、火砲も300門

https://smart-flash.jp/sociopolitics/178631

この間も他のメディアでウダウダ言っていた元陸将殿ですぬ。ホント、懲りないよなあ....。海空の戦力を撃破しなきゃ戦車なんて、ただの1台も北海道には上陸出来ないのにさあ。
Goodman80
2022年04月16日 10:51
「その兵器ウクライナにいい」交渉上手なだけでないゼレンスキー大統領の安全保障戦略
https://trafficnews.jp/post/117665
現在、将来に渡って自国の安全、国家政策について考えて行く能力の高さ、よっぽど優秀なブレーンが揃っているのか羨ましい限り。防衛予算GDP2%とかお題目を唱えるだけのバカ国家にも1%で良いから良いから分けて欲しいもの。
KU
2022年04月16日 10:56
>戦争は他人事ではない...防衛ジャーナリストが見た高速フェリー「ナッチャン」

https://cocreco.kodansha.co.jp/general/news/utility/gLPJQ

防衛ジャーナリストとあるから誰かと思えば、危険が危ない!な半田さんですた(^_^;)。しかも、サブタイトルは『日本でも聞こえる「軍靴の音」』orz。内容は、ナッチャンを輸送船でなく病院船にしよう!···けどねえ。病院船が必要な状況って、大災害時など平和な状態じゃないですよねえ。この人の頭の中では、戦争以外の状況は全て平和な日常なのか?
やれやれ
2022年04月16日 10:59
「日本はウクライナより弱い」元陸将が危惧する自衛隊の現状… 戦車はたった300両、火砲も300門
https://smart-flash.jp/sociopolitics/178631
またこの人か...自衛隊が弱い原因は戦車や火砲の数じゃないのに...
Goodman80
2022年04月16日 11:13
自衛隊で痛感!「優秀な人が育たない組織」と「育つ組織」の決定的なちがい
https://diamond.jp/articles/-/301375
自衛隊ってもの凄い組織だったんですね、感動してしまいました。他の組織も自衛隊を見習って改革を行えば日本もきっと真の先進国になれる事間違いなし。
あ~、眉に唾が滝の様に流れて目が見えなく、眩暈がして息も出来なくなった。よいしょ記事も此処まで行けば最早宗教。
偽陸士
2022年04月16日 14:19
清谷様。

記者会見お疲れ様です。

平尾室長と講和されたとの事ですが、もう少し喧嘩されても良かったのではないかと思います。
議論にせよ口論にせよ、互いに背負うもののために労力を費やすので互いに消耗はあるでしょう。
しかしながら薩英戦争の様に薩摩は攘夷の無謀さを悟り、英国は信頼出来るパートナーを得る。
今回は相互理解を深める良い機会だったのでは。


>実質的な国軍である自衛隊を率いる大臣が、国産装備は完璧だから実戦データは必要ないというのは軍事に対して無知であると公言しているに等しいわけです。

私は大臣は無知無能でも構わないと思います。
無知無能な有権者の代表ですから。


>制服組は大臣にきちんとインフォームしているか、というお話を尋ねました。


ですがこれは深刻な問題です。
いくら岸大臣を筆頭に日本人が他国の市民に比べて軍事に関して無関心無知だからといって、この問題を理解して無くても良いと言う事にはなりません。
如何に納税者に関心を持って貰い、この支出は当然だし有事には協力しようと思わせなければいけません。

さもなくば僅かな兵力の新政府軍に、大藩だった会津藩が敗北した例の二の舞になるでしょう。

ウクライナみたく国民にアサルトライフルを配布出来ないなら、そこはしっかりやるべきです。


ただ、どうやったら興味と関心をもって貰うか、それが最大の難問なのですが。

そこで提案です。

岸大臣から記者クラブの会員全社で、ウクライナをそれも最前線を訪問して貰うのは如何かと。

もちろん政治的パフォーマンス込みですが、日本が西側の一員であるとの強烈なメッセージになります。

防弾チョッキやヘルメットより喜ばれるかと。

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