令和4年度財政制度分科会の防衛関連資料を読む 参考資料編その8
財務省では毎年財政制度分科会が開催されています。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものです。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。これは「資料」と「参考資料」があり、今回から数度に渡って、この「参考資料」を解説していきます。
「資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
「参考資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf
開発事業に係る⾒直し・検証例︓F-15能⼒向上事業について(P11)
○ F-15J(近代化機)の能⼒向上事業は、電⼦戦能⼒の向上、スタンド・オフ・ミサイル運⽤能⼒の付与、搭載弾薬数の増加等を⽬的に、現下の安全保障環境を踏まえて実施する防衛省の重要な事業であり、⽶国製の能⼒の⾼い装備品を早期導⼊するFMS(Foreign Military Sales︓有償援助)にて開始。
○ ⼀⽅で、防衛所要上の必要性を拠り所に⽇本独⾃仕様の装備品の取得(実質的な開発)を進めた結果、プロジェクトの⼤幅⾒直しを⾏う事態に。スタンド・オフ・ミサイル(対艦)の運⽤は、F-2で代替することになったことを考えると、計画段階において各アセットの役割、費⽤対効果等を検討するなど、教訓を⽣かす必要がある。
➗ F-15J能⼒向上事業は、令和元年度のプログラム開始当初、FMS関連事業であるものの、
- ⽶国で採⽤していない電⼦戦装置を搭載- ⽶空軍システムに適合しない⽶海軍のミサイルを搭載するなど、実質的な開発を推進。
➗ ⽶国との調整の中で、⼤幅な経費の増加や改修期間の延⻑が発⽣することが明らかとなり、プロジェクトを⾒直し。
主な懸案事項 <スタンド・オフ・ミサイルの搭載>
® スタンド・オフ・ミサイル運⽤構想はどうなっているのか。
® ⽶空軍プログラムのF-15のシステムになぜ⽶海軍プログラ
ムのミサイルを載せるための実質的開発をしようとしたのか。
<電⼦戦装置の搭載>
® なぜ⽶国で採⽤していないDEWSを搭載しようとしたの
か。
® ⽶軍搭載EPAWSSの導⼊交渉は⾏ったのか。
⇒ 事業⾒直し後、EPAWSSの導⼊に変更。
端的に申せば空幕には装備の開発能力、調達能力がない、ということがF-15J近代化改修の唯一最大の原因です。
F-15Jの改修に関しては大きな視点からのビジョンがなく、具体的な計画もありませんでした。少ない予算で長期にわたって部分分を改修する。だから全体的に見ればバラバラに異なった改修をされる機体が多く、しかも米空軍では新らしいレーダーを採用しているのに旧型レーダーを調達し続けていたりするわけです。
他国であれば工程表を作って例えば改修予定機九〇機のうち三〇機をトランシェ1として、5年で改修し、次の30機をトランシェ2としてその後の5年で改修、その次に最後の30機を改修こういう計画をはじめに立てます。それがなく、田舎の温泉旅館のように場当たり的に改築するのが空幕の「計画」です。
そして未改修機の偵察機転用計画も頓挫。たかだか15機程度用の偵察ポッドを「国産」を企画。その実態はコンポーネントは、ほとんど外国製それでも主契約者の東芝が失敗して、その責任を東芝におっぶせて訴訟になったわけです。素直に実績のある外国性を一括調達すれば安価で素早く偵察飛行隊ができたはずです。
結局F-15Jの偵察転用は中止となって、F-35Aに兼用させることに。タダでさえ量的に不足が指摘されている戦闘機を偵察用に間引くわけですが、実際に機能はしないでしょう。
単にプロジェクト失敗の責任を曖昧にするための組織防衛でしょう。その組織防衛で国防を危うくしても構わないというのが空幕です。
現状対中国では航空優勢の確保も難しくなっているのに、F15にスタンドオフ攻撃能力を付加する必要があったのでしょうか。これを入れたために「開発費」が高騰したわけです。
そういうお仕事はF-35の分担じゃなかったのでしょうか。
空自では慢性的に予算が不足しています。戦闘機のミサイル射撃訓練は数年に一度に過ぎません。
その原因は高コストの装備調達、運用費です。
C-2は調達&運用コストが他国の輸送機の数倍です。それにもかかわらず電子戦機の派生型まで調達している。
救難ヘリも23.75億円の調達単価を決定してそれで採用を決めたのに、蓋をあけたら三菱重工製のUH-60J改良型は50億円以上です。以前のUH-60Jが40億円以上ですから、空幕や重工が魔法でも使わない限り不可能な数字です。これで救難ヘリのLCCは2倍の4千億円越えることは確実です。
つまり、これは組織的に「官製談合」という「犯罪行為」を行っていた、という以外に考えられないでしょう。
これらのような、無駄使い、杜撰な調達を続けていればカネがなくなるのは当たり前です。
そして今後F-35が続々配備されます。F-35は期待寿命がF-15の半分、維持整備費はF-15の二倍と言われております。果たしてそのような機体を150機も導入して、訓練や整備予算、その他の需品などの予算が賄えるのでしょうか。
中国は弾道弾を揃えています。開戦になった場合、航空基地もそのターゲットでしょう。のみならず、ドローンのスオーム攻撃や迫撃砲の攻撃ですら、現状空自の戦闘機隊は地上で容易に撃破されます。
であればバンカーや滑走路の即応補修、対空能力の強化、移動管制システムの強化が必要です。そして弾薬の備蓄も厚くする必要があります。
ですが、空自にその気はありません。高い「趣味の機体」を揃えて軍隊ゴッコがやりたいだけで、実戦は考えていません。であれば装備調達は米空軍に丸投げした方が遥かに宜しいでしょう。無能で勤勉な働き者は敵よりも始末が悪いです。
■本日の市ヶ谷の噂■
自衛隊仙台病院は、自衛隊中央病院、自衛隊札幌病院などに次ぐ基幹病院だが、国家の一大事においても、“軽症“の患者しか診療できないレベルとの噂。
その中に防衛に分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されています。意外に注目されていないのですが、防衛省では出さない資料や防衛省には都合の悪い指摘も含まれており、防衛に関しては貴重な資料となっています。これは「資料」と「参考資料」があり、今回から数度に渡って、この「参考資料」を解説していきます。
「資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
「参考資料」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/04.pdf
開発事業に係る⾒直し・検証例︓F-15能⼒向上事業について(P11)
○ F-15J(近代化機)の能⼒向上事業は、電⼦戦能⼒の向上、スタンド・オフ・ミサイル運⽤能⼒の付与、搭載弾薬数の増加等を⽬的に、現下の安全保障環境を踏まえて実施する防衛省の重要な事業であり、⽶国製の能⼒の⾼い装備品を早期導⼊するFMS(Foreign Military Sales︓有償援助)にて開始。
○ ⼀⽅で、防衛所要上の必要性を拠り所に⽇本独⾃仕様の装備品の取得(実質的な開発)を進めた結果、プロジェクトの⼤幅⾒直しを⾏う事態に。スタンド・オフ・ミサイル(対艦)の運⽤は、F-2で代替することになったことを考えると、計画段階において各アセットの役割、費⽤対効果等を検討するなど、教訓を⽣かす必要がある。
➗ F-15J能⼒向上事業は、令和元年度のプログラム開始当初、FMS関連事業であるものの、
- ⽶国で採⽤していない電⼦戦装置を搭載- ⽶空軍システムに適合しない⽶海軍のミサイルを搭載するなど、実質的な開発を推進。
➗ ⽶国との調整の中で、⼤幅な経費の増加や改修期間の延⻑が発⽣することが明らかとなり、プロジェクトを⾒直し。
主な懸案事項 <スタンド・オフ・ミサイルの搭載>
® スタンド・オフ・ミサイル運⽤構想はどうなっているのか。
® ⽶空軍プログラムのF-15のシステムになぜ⽶海軍プログラ
ムのミサイルを載せるための実質的開発をしようとしたのか。
<電⼦戦装置の搭載>
® なぜ⽶国で採⽤していないDEWSを搭載しようとしたの
か。
® ⽶軍搭載EPAWSSの導⼊交渉は⾏ったのか。
⇒ 事業⾒直し後、EPAWSSの導⼊に変更。
端的に申せば空幕には装備の開発能力、調達能力がない、ということがF-15J近代化改修の唯一最大の原因です。
F-15Jの改修に関しては大きな視点からのビジョンがなく、具体的な計画もありませんでした。少ない予算で長期にわたって部分分を改修する。だから全体的に見ればバラバラに異なった改修をされる機体が多く、しかも米空軍では新らしいレーダーを採用しているのに旧型レーダーを調達し続けていたりするわけです。
他国であれば工程表を作って例えば改修予定機九〇機のうち三〇機をトランシェ1として、5年で改修し、次の30機をトランシェ2としてその後の5年で改修、その次に最後の30機を改修こういう計画をはじめに立てます。それがなく、田舎の温泉旅館のように場当たり的に改築するのが空幕の「計画」です。
そして未改修機の偵察機転用計画も頓挫。たかだか15機程度用の偵察ポッドを「国産」を企画。その実態はコンポーネントは、ほとんど外国製それでも主契約者の東芝が失敗して、その責任を東芝におっぶせて訴訟になったわけです。素直に実績のある外国性を一括調達すれば安価で素早く偵察飛行隊ができたはずです。
結局F-15Jの偵察転用は中止となって、F-35Aに兼用させることに。タダでさえ量的に不足が指摘されている戦闘機を偵察用に間引くわけですが、実際に機能はしないでしょう。
単にプロジェクト失敗の責任を曖昧にするための組織防衛でしょう。その組織防衛で国防を危うくしても構わないというのが空幕です。
現状対中国では航空優勢の確保も難しくなっているのに、F15にスタンドオフ攻撃能力を付加する必要があったのでしょうか。これを入れたために「開発費」が高騰したわけです。
そういうお仕事はF-35の分担じゃなかったのでしょうか。
空自では慢性的に予算が不足しています。戦闘機のミサイル射撃訓練は数年に一度に過ぎません。
その原因は高コストの装備調達、運用費です。
C-2は調達&運用コストが他国の輸送機の数倍です。それにもかかわらず電子戦機の派生型まで調達している。
救難ヘリも23.75億円の調達単価を決定してそれで採用を決めたのに、蓋をあけたら三菱重工製のUH-60J改良型は50億円以上です。以前のUH-60Jが40億円以上ですから、空幕や重工が魔法でも使わない限り不可能な数字です。これで救難ヘリのLCCは2倍の4千億円越えることは確実です。
つまり、これは組織的に「官製談合」という「犯罪行為」を行っていた、という以外に考えられないでしょう。
これらのような、無駄使い、杜撰な調達を続けていればカネがなくなるのは当たり前です。
そして今後F-35が続々配備されます。F-35は期待寿命がF-15の半分、維持整備費はF-15の二倍と言われております。果たしてそのような機体を150機も導入して、訓練や整備予算、その他の需品などの予算が賄えるのでしょうか。
中国は弾道弾を揃えています。開戦になった場合、航空基地もそのターゲットでしょう。のみならず、ドローンのスオーム攻撃や迫撃砲の攻撃ですら、現状空自の戦闘機隊は地上で容易に撃破されます。
であればバンカーや滑走路の即応補修、対空能力の強化、移動管制システムの強化が必要です。そして弾薬の備蓄も厚くする必要があります。
ですが、空自にその気はありません。高い「趣味の機体」を揃えて軍隊ゴッコがやりたいだけで、実戦は考えていません。であれば装備調達は米空軍に丸投げした方が遥かに宜しいでしょう。無能で勤勉な働き者は敵よりも始末が悪いです。
■本日の市ヶ谷の噂■
自衛隊仙台病院は、自衛隊中央病院、自衛隊札幌病院などに次ぐ基幹病院だが、国家の一大事においても、“軽症“の患者しか診療できないレベルとの噂。
この記事へのコメント
https://www.jiji.com/sp/article?k=2022060200993&g=eco
何でもかんでも国産に拘り、何年も前から業界の実情を知りながら再編も行おうともせず、ただ無駄に時間だけ浪費してきたくせに。
最悪じゃないですかそれ。これじゃあ制空権確保めちゃくちゃ不安ですよ。
>C-2は調達&運用コストが他国の輸送機の数倍です。それにもかかわらず電子戦機の派生型まで調達している。
救難ヘリも23.75億円の調達単価を決定してそれで採用を決めたのに、蓋をあけたら三菱重工製のUH-60J改良型は50億円以上です。以前のUH-60Jが40億円以上ですから、空幕や重工が魔法でも使わない限り不可能な数字です。これで救難ヘリのLCCは2倍の4千億円越えることは確実です。
c2はKUさんが載せた記事も見るに、飛ぶことすら敵わないならもう全機退役で結構。予備や戦略輸送にも使えそうと思ったけどこれではもうね。
救難ヘリも輸入にすべきだった。
>これらのような、無駄使い、杜撰な調達を続けていればカネがなくなるのは当たり前です。
あえて予算減らして賢い買い物をするべきってのをわからすべきでしょうが、どうせその貴重な予算も無駄遣いするに決まってる。
>そして今後F-35が続々配備されます。F-35は期待寿命がF-15の半分、維持整備費はF-15の二倍と言われております。果たしてそのような機体を150機も導入して、訓練や整備予算、その他の需品などの予算が賄えるのでしょうか。
f35は60機で終わり、残りはF16Vやグリペンなり中古機なり安いものでいいです。
>ですが、空自にその気はありません。高い「趣味の機体」を揃えて軍隊ゴッコがやりたいだけで、実戦は考えていません。であれば装備調達は米空軍に丸投げした方が遥かに宜しいでしょう。
アメリカもアメリカでカモとしか見てないでしょうし高い兵器押し付けるだけになりそうで。だったらイギリス軍やイスラエル軍の方にやってもらう方がまだマシかと。
正直初めて空自に期待しないと思いました。「もういっそ解体しろ、攻撃されたら?知るか。政治も何もかも腐りきった日本なんかどうでもいい」と一瞬思いましたが、流石にそれは酷でしょう。もういい加減自分も流石に提言しなきゃ気がすみません。海自だって不審船事件でやっと乗組員に防弾ベスト着せた形ですし、痛い目みないと変わらないのかな。
とにかく一日でも早く見直ししてほしい。
日本の防衛装備庁の全幹部の方々に、韓国の防衛事業庁に弟子入りさせるのです。
その見返りにKF-21を20機ばかり発注しましょう。
破滅する前に眼を醒まさせないと。
妙案すぎますね。こんなの韓国ネトウヨを喜ばしてホルホルさせるだけです。ましてやKF21なんかまだ完成もしてなきゃしっかり飛ぶかもわかりませんし、偏見ですが、韓国もまともな航空機作れるか怪しいところ。
ならばイギリスやトルコとか、清谷氏が言うようにイスラエルに丸投げする方がマシですよ。
妙案すぎますね。こんなの韓国ネトウヨを喜ばしてホルホルさせるだけです。
ネチズンなんてホルホルさせておきなさい。
ネトウヨを火病らせ、保守のプライドを砕かないと話が始まりません。
これ以上の時間と予算の浪費を止められれば安いもんです。(笑)
どちらにせよ、韓国は期待出来ません。
KF21なんかまだ完成もしてなきゃしっかり飛ぶかもわかりませんし、偏見ですが、韓国もまともな航空機作れるか怪しいところ。
ならばイギリスやトルコとか、清谷氏が言うようにイスラエルに丸投げする方がマシです。
トルコやイスラエルに教えを請うだけでもネトウヨや保守のプライドを壊すには十分です
>トルコやイスラエルに教えを請うだけでもネトウヨや保守のプライドを壊すには十分です
不十分です。
十分か不十分かはともかく、何度もいいますが、上記の理由からイギリスやトルコとか、清谷氏が言うようにイスラエルに丸投げする方がマシです
高い悪い補給がない国産兵器と安い良い補給がある外国兵器どちらを使いますか?
みんな後者ですよ。
兵器は実用品。
そりゃ、防衛力向上には予算も必要ですけど、わざわざ高いもの買って、数量を自己規制したんでは、意味がない。