防衛省、自衛隊の本質はカルト教団である。
本稿はどこの媒体も載せてくれなかったので、ブログで掲載します。
どうも防衛省、自衛隊をカルトに酷似しているという記事は抵抗があるようです。
ですが、ぶっちゃけ防衛省、自衛隊は軍隊とは異質でその本質はカルト教団と同じです。
この歪んだ文化を是正しないかぎり、まともな軍隊になりませんし、個々の政策を批判しても
問題の根源は解決しません。
このブログを読んでいる方はご理解いただけると思います。
防衛省、自衛隊はカルト教団である。
そう考えると色々と説明がつく根幹的な欠点は多い。
こう言うと防衛省や自衛隊を愚弄するのかと批判もあろう。だがこの30余年、防衛省や自衛隊の多くの問題を指摘し続けて、その体質が変わらないことを見てきた身からすれば、それら諸問題の根源は、この組織のある種のカルトな文化に根ざすものだと確信する。
その最大の原因は、民主国家ではあり得ない情報隠蔽体質である。問題が国民の目に触れないので、外部から批判を受けることが少ないので、陰湿な隠蔽体質や、歪んだ組織文化が矯正されない。
政府は防衛費を大幅に増やす方向で検討しているが、このような政治、メディア、納税者の目が届かない「暗黒大陸」のごとき状態で予算を増やすことは適切ではない。実際に防衛費の無駄使いは目を覆うばかりのレベルだ。
1)外部に対して徹底的な秘密主義
端的な例は、10月に行われた危機管理産業展における、公開情報であるブッシュマスター(編集部注:輸送防護車)の内部の隠蔽だ。メーカーが公開している情報ですら秘密だと主張して納税者に見せない。外部に情報を出さない。それによって外部からの批判を極小化できるからだ。(参考:日本人は防衛の隠蔽体質の深刻さをわかってない)
11月10日には八重瀬町の陸上自衛隊南与座分屯地の周辺で訓練の様子を撮影していた琉球新報のカメラマンが、自衛隊員2人に撮影を制止され、撮影データの削除を求められるということがあった。筆者も以前第一空挺団の年頭行事である「降下始め」を取材時に展示スペースに軽装甲車にターゲットロケーター(編集部注:暗視装置)を搭載したものを撮影したが、写真の削除を求められた。
これらは民主国家の軍隊ではありえない。これは検閲であり、憲法違反である。更に申せば外部から見えるものは公開情報だ。件の軽装甲機動車でも隠したいなら展示スペースに出すべきではないし、必要な部分に袋を被せるなどすればよい。そもそも軍隊では普通に普及しているターゲットロケーターを「軍事機密」のごとく思っているのは「軍隊」として非常識だ。
防衛省や自衛隊のこのような過度の秘密主義は隠蔽主義にも通じている。情報開示のレベルは民主国家の「軍隊」としては落第レベルだ。納税者に対する説明責任を果たそうという意識が極めて希薄である。
それは組織を不透明にすることによって、外部からの批判を封じるためだ。防衛省や自衛隊の実態や問題点を政治や国民の目から隠すことであり、独善に走ることなる。だから陸幕の南スーダン派遣時の日報隠蔽問題のような事案が発生する。軍隊ではあり得ない不祥事だ。
公開すべき情報も、秘匿すべき情報も全部隠蔽することが組織の利益だと考えているので、何が本当に機密かわかない状態になっている。だから本来隠すべき情報を暴露したりもする。情報リテラシーが欠如しているのだ。これは「軍隊」としては致命的である。
2)度を越した被害妄想
自衛隊の隠蔽主義はなし崩し的に警察予備隊から「限りなく軍隊に近い行政機関」になったという出自があり、また長年憲法違反だと批判されてきたことがある。確かに70年代までの世論は自衛隊に厳しかったのは事実だろう。だが80年代以降自衛隊に対する国民の好感は向上している。現在では多数派の国民が自衛隊を支持している。だが未だに自分たちが世間から過度に批判されているという過剰な被害者妄想をもっている。これが徹底した秘密主義、隠蔽主義につながっている。
「教団」の外部は敵である。「教団」内部のドグマやルール、「教団の常識」こそが正しいのだという偏狭なカルト宗教に共通するイデオロギーを形成している。信じられるのは教団内部だけ。政治も、国民も「教団」を迫害する「法敵」であるという心情が防衛省や自衛隊内部に強い。だから情報を外部に隠す。そして世間の常識からかけ離れた組織防衛が強化される。その負のループが出来上がっている。
3)唯我独尊
このような世の中で唯一正しいのは自分の「カルト教団」でありその「教義」である。そういう認識だから外の世界、即ち他国の軍隊や社会の現実を知ろうとはしない。だから他国の軍隊が無人機やネットワーク導入しようとも無関心でいられた。
組織内でそれを指摘すると「異端者」といって組織内で魔女狩り、あるいは異端審問に会う。それは今の組織や装備体型の見直しが必須であり、ポストがなくなったり、予算や部隊が縮小されたり「損をする人たち」がでてくるからだ。例えば戦車を減らして、無人機を増やすならば、機甲科の予算やポジションが減る。それは許容できない、というわけだ。
だから現状を肯定し、その維持がいいのだ。だから防衛省や自衛隊は世界の軍隊の常識からどんどん外れ、時代から取り残されていく。
自分たちが唯一絶対に正しいので、外部の事を知る必要はない。そういう発想になるので、情報活動に不熱心である。例えば筆者が指摘するまで防衛省の装備開発関連の海外視察費は年間100万円以下であり、それも退職前の高官の「卒業旅行」にされていた。情報収集をするつもりはなかった。自衛隊の高級幹部と話しても現在の世界の軍隊の常識に疎い人が大変に多い。また、諸外国の動向にも関心がなくなる。
装備開発や調達のために、海外の見本市やコンファレンスにも関心がない。唯一の関心は組織防衛と、組織内の調和だ。だから例えば無人機を入れると、損をする「教団」内の派閥があれば導入しない。新規の装備を入れることによって、派閥内のポストや予算のバランスが崩れたりすることを防ぎたいから「絶対正しい組織」を見直してまで戦える集団にしようとは思わない。
だから防衛省、自衛隊のやっていることは全て正しい、それに疑問を持ったり、否定したりするものは、外部のメディアでも内部の隊員でも「教団の的」、「異端」と認識する。そのような「異端」は迫害されて組織を追い出される。良くても出世できない。それがおかしい、変だと思っていても、自分が「異端」あるいは「魔女」扱いされたくないから皆口をつぐむのだ。
だから「教団」の教義や現状を全肯定するする、「純粋」な信者だけが出世する。そうして異常かつ奇異なカルトな組織文化の度合いが更に深まっていく。
3)組織の不正やインチキを徹底的に隠蔽する
「教団」、そしてその「教義」は常に正しいわけから、それが間違っていると外部から指摘されても認めようとしない。そのような指摘は嘘であり、「悪魔の仕業」であり、教団に対する攻撃だと認識している。そして逃れられなくなると仕方なく、渋々と認める。
筆者は東日本大震災で無人機が一回も飛ばなかったとか、個人衛生キットが著しく劣っている事などを「都合の悪い真実」を告発してきたが、国会などで追求されるに至って渋々と認めてきた。
防衛省や自衛隊には更に下部の「教団」が存在する。それが航空科とか機甲科とか、衛生科とか装備庁とかである。これら「教団」の利益は防衛省や自衛隊全体の利益よりも大きい。だから幕僚長や大臣に引責辞任をさせても、ここの「教団」の利益を図るのだ。特に大臣などは初めから外部の人間であり「信者」ではないのだ。
陸幕による南スーダンの日報隠しで、稲田防衛相や陸幕長が辞任に追い込まれたたり、最近の女性自衛官へのセクハラ問題などその好例である。
「唯一無二の素晴らしい教団」で「絶対の素晴らしい教義」を持つ防衛省や自衛隊でセクハラ、モラハラ、パワハラなどの「悪いこと」が起きるはずがない、だからそう外部に主張する。このためにも情報を隠蔽する。そして被害者を「異端者」として弾劾するのだ。海自のいじめによる自殺の組織的隠蔽などがその典型例だ。そして被害者が出ていくようにするのだ。
岩田陸幕長時代、筆者は陸自の個人携行衛生キットの不備を取材していた。このため陸幕広報室に、陸幕衛生部に対する取材を申し込んでいた。ところが担当者からは全く連絡がなく、メールやFAXで催促しても連絡がなく、電話をかけても「不在」であると言うばかりだった。
筆者はこれを岩田陸幕長に会見で質したら、広報室長の松永康則1佐が担当者に居留守を使えと命じていたことが判明した。後に松永一佐は陸将補に昇進するはずが、昇進を見送られて地方本部に飛ばされた。だがその後半年で陸将補に昇進している。民間企業ならば懲戒ものだ。しかも陸幕からは謝罪もなかった。
そしてこのことを中谷大臣に質問し、書面で回答をえた。
陸幕広報室長、松永康則1佐の見識 「嫌な質問にはバックレていい」それは陸幕長のお墨付き
https://kiyotani.seesaa.net/article/201504article_6.html
(以下、引用)
Q1 広報室長が陸幕長の命令を拒否していいのか。また陸幕ではこのような上官の命令無視が普通に起こっているのか。
A1 平成26年11月6日の陸幕長定例記者会見においては、陸幕長は、「適切に対処」するように命令したとご指摘にあるが、「調整させる」と発言したものと承知している。この際、貴殿より“個人携行救急品”について質問を受けたことから、同年11月25日及び12月25日、正確を期すためもあり、陸幕広報室は文書(メール)をもって回答し、併せて参考資料も提供したものと承知している。このことから、陸幕長の命令を拒否しているというご指摘にはあたらないと考える。
Q2 何らかの都合が悪いことに関して回答をせず、黙殺するのは広報の態度としてどうか。
A2 ご質問は、“直接取材できない理由及び直接取材させないことを判断しているもの”に関する質問に広報室が回答しないことに発したものと考えるが、そもそも取材依頼があったと認識していないことから、回答すべき状況にあったとは考えていない。
取材は、各社共通で、取材依頼を文書(メール)にて送付いただいた後に、取材受けの可否を含めて判断し、対応しているところである。取材を希望されるのであれば、まずは、取材目的、取材内容、報道予定等を記載した取材依頼を陸幕広報室に送付いただきたい。
(引用おわり)
木で鼻をくくったような回答で、防衛省、自衛隊は無謬だと言わんばかりである。だがその直後陸幕長から指示があったのか、衛生部は筆者のインタビューを受けている。
この件で陸自の個人携行衛生キットが米軍などに比べて著しく劣っていることが、広く認識されて、大野元裕参議院議員(元埼玉県知事)ら野党が動いて、向上のための補正予算が組まれた。筆者が「居留守」で諦めていたら、陸自の衛生キットは貧相なままだったはずだ。この件でも如何に自衛隊、防衛省の隠蔽体質が根深いものかわかるだろう。
このような例もある。陸幕装備部は、陸自の装備調達を司る部署だが、その装備部はかつて拙著「防衛破綻」(中央公論新社)について正誤表を作成した。ところかこれがウィキペディアや、下手をすると2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などを参照に作成されたと思われる杜撰なものだった。(注1 参考記事)
また軍事用語を自衛隊用語ではないから「誤り」であると断じている箇所もあった。これが自衛隊の内部文書であればそうだが、一般書籍である。より一般的な軍事用語を使うことのどこがいけないのか。作成者は内部の書類は目を通しているのだろうが、軍事関係の書籍すら読んでいないらしい。
陸幕広報室の説明によると、内容を精査した結果、正誤の指摘箇所は当初の51箇所からもわずか3箇所に減っていた。しかし筆者が見る限り、その内2箇所は単に国交省との法解釈の見解の相違だった。しかも筆者が気にしていた誤りは指摘されていなかった。
筆者も自衛隊の情報のレベルは低いとは感じていたが、正直これほどとは思わず、大きな衝撃を受けた。だが、仮にこの正誤表を見た人物は筆者のような市井のジャーナリストよりも「権威ある陸幕装備部」の主張を信じるだろう。
筆者は陸幕広報室を通じてこの「正誤表」の全文の提供と事実関係を書面で回答するように依頼した。広報室は当初は提供すると言っていたが、広報室に出向いて見ると提出は断られ、かわりに陸幕広報室から口頭で説明と謝罪があった。役所では書類で残らなければその事実は存在しないに等しいからだ。だからできるだけ書面による回答を避けるのだろう。書面さえ残らなければ謝罪した事実は隠蔽できるからだ。
この件は後に2013年に小野寺五典防衛大臣に会見で件の文書の公開を求めた。だが広報官の説明によると「正誤表」は公開対象文書ではない、内部文書であり、公開できないとのことだ。つまりこのレポートは「正誤表」ではなく、正しい記述を誤りであるとした「誤正表」であった。だが筆者が入手した部分を見る限り、機密に属する記述はまったく無かった。つまり「謝るのが嫌」だっただけだ。
このようなアマチュア以下の粗雑な書類は多く防衛省で作成されているだろう。だが、それが露見しても謝罪も認めもしないのであれば、いつまで経ってもそのようないい加減な文書が作成され続け、それに基づいて政策含めて各種の判断がされることになる。
世界有数の経済大国の「軍隊」が、ウィキペディアや2ちゃんねるの情報を元に運営されている可能性があるのだ。これは機密漏洩以上に恐ろしい話ではないか。
少し古いがこういう話もある。1999年12月号 月刊「軍事研究」で当時朝日新聞編集委員だった田岡俊次氏が防衛大学校の防衛学教官を中心とする十五人が分担執筆した「軍事学入門」(かや書房刊)に初歩的な誤りがあまりに多いことを指摘して、それが防衛省内部で大問題となった。(参考記事部外との知的交流を妨げるな! 自衛官よ、他流試合を恐れるなかれ<朝日新聞編集委員>田岡 俊次)
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01257/contents/449.htm
(以下、引用)
>>“防大の恥をさらした。間違いだらけの本を学生にも買わせたことを謝罪すべきだ。とか、こんな非常識な誤りを書くような人には教官の資格はない、など防大内でも防衛庁内局からも非難が激しい。二度と外部で本を出せない雰囲気です」と異口同音に訴えられる。
>「それは逆。これまで仲間うちの防衛学会とか、揚げ足を取らない防大生だけ相手にしていたから粗雑になった。部外で読まれる本を出し、世間の風にさらされて学問は進歩し、相互批判を重ねて精密になる。スポーツの全国大会に出ればエラーして野次られたり、評論家に酷評されるのも当り前。それがこわいから、対外試合を禁止、校内の練習試合だけにしようというのでは進歩しないどころか、退化するだけじゃないですか」とお答えし、要路の方々にも、教官がこれで怯むようなことはないように、とお願いしてはおいたのだが、考えれば考えるほど、ことは教官の執筆の是非、という小さい問題ではない。
>>新聞の記事だけに、一般の人に分りやすい誤りの例をあげたが、軍事的な誤りや疑問は四、五十個所はある。
>防衛大の陸戦史の教官が同誌に書いた僅か二ページのエッセーには「セルビア独立派の闘士がオーストリア皇太子を暗殺して」第一次大戦が始まった、など深刻な誤りが数か所もあった。社に送られてきたセキュリタリアンを見て、私が「これはこれは」と笑い出したら、側にいた同僚(全く軍事問題の専門家ではなく、スペイン圏と中南米が専門)が「何ですか」とのぞき込み「エーッ、第一次大戦はオーストリアとセルビアの戦争が波及して拡大したのですから、セルビアはとっくに独立していた。高校の世界史で習うことで常識じゃないですか、こんなことを防大の戦史の教授が書くんですか」とあきれていた。
>>制服自衛官と外務、防衛官僚が、米国その他外国の軍人と会議などで同席する機会が増えたため、自ずと比較され、「識見や視野の広さに大差がある」との声は他省庁の役人からも聞かれる。もちろん比較論は相手のどの部分とこちらのどの部分を比べるかで全くちがってくるから一概に言えないが、米軍などの将校の方が一般教養の水準が高い印象はある。私自身、日本の幹部学校などに留学した経験のある米軍将校から教育内容などについて酷評を聞いたことがある。また米国の外交官から「航空自衛隊の某部隊に隊付勤務した米軍の将校は、日本の将校は馬鹿ばかりだ、と言ったが本当にそうか」と聞かれ「言葉の問題で高度の話ができないため、そんな印象を受けたのだろう」と答えたこともある。また「演習が儀式化し、誰も面子を失わないようにしている。どこに問題があるかを発見するのが演習ではないのか」という評も米軍将校から聞いた。各種の制約があったり、説明が十分にできず誤解を生じたりすることもあるのだろうが、思い当たるふしがなくはない。
>部下からも「人前には出せません」と言われるような人が代表的な地位につくのは問題だ。
>自衛隊幹部、防衛大教授の間からは「自衛隊幹部に広範な軍事史や他自衛隊について勉強しない人が多いのは自分たちが重要な決定に関し発言する立場にないためだ。社会的地位の低さが基本にある」という声もでる。即座に「まるで不良少年の言い分。親が悪い、世間が悪いから勉強しないというのと同じだ。ちゃんと勉強している自衛隊幹部もいるではないか」と切り返したのだが、こうしたことを自衛隊幹部自身が言うことの当否、体裁はとにかくとして、客観的にはそうした要素が若干あることも否定しがたい。
(引用おわり)
防衛大学の教官でこのレベルである。その後田岡氏の指摘が契機となってその後の「軍事学入門」の改訂版ではこのような間違いが無くなった。
適切な外部からの監視や指摘、批判がなければ、その組織は組織内部の利害だけで行動し、そのような隠蔽体質がより深くなるのはどの組織でも同じだ。防衛省、自衛隊では社会的なモラルにとどまらず、専門知識や教養の劣化がひどく、軍隊とはいえないレベルだ。その根底にあるのが過剰な秘密主義にある。
4)外部協力者への厚遇
「教団」が如何に素晴らしいか、信者がいかに幸せかを外部に向かってアピールする。それは資金(予算)と新たな「信者」(職員、自衛官)の獲得のためである。だから「教団」のリソースと潤沢な予算を使って、自分たちの味方をしてくれるようなメディアやジャーナリストを取り込もうとする。安倍晋三元総理や自民党の議員らと旧統一教会との関係と全く同じだ。
自分たちを批判することなく、提灯記事を書いてくれる記者クラブや軍オタ媒体、その記者には取材機会をどんどん与えて厚遇する。筆者も昔陸幕広報部の報道担当者から自衛隊に有利な記事を書くならば、書籍などを大量に買い取ると言われたことがある。無論即座にお断りした。
このため世間には報道と言うより広報的な防衛省、自衛隊スゲー的な、記事が溢れている。逆に筆者のように「不都合な事実」を調査報道で暴く記者は「悪鬼」のように忌み嫌われる。筆者のような調査報道をするジャーナリストは、我が国では他国では当たり前に公開されている情報も公開されていないので、まるでサリバン先生がいないヘレン・ケラー状態で仕事をしている。
政治家に対する「ご説明」も同じだ。政治家に対して防衛省や自衛隊は個別に予算や政策に関してレクチャーをする。だが軍事の情報から大きくずれている怪異な集団であることを政治家は得て知らない。他に比較ができないからだ。厚労省であれば医師、法務省であれば弁護士ら在野の専門家からセカンドオピニオンを取ることができるが、防衛はそれができにくい。
唯一の「専門家集団」である防衛省、自衛隊から言われたことを政治家は鵜呑みにする。筆者は民主党政権時代それまで防衛省には批判的だった、大臣や政務官らが「洗脳」されていく様子をみて愕然とした経験がある。
故竹村健一氏では「日本の常識は世界の非常識」と喝破したが「自衛隊の常識は軍隊の非常識」である。その軍事的に非常識な主張が政治家に一方的に注ぎ込まれている。軍隊の常識を無視した独善な情報を「軍事の常識」としてレクチャーされ、洗脳されるのだ。
例えば陸自では本来支給すべき装備などの教範を自腹で購入させていた。それを使用後は廃棄させていた。それは私有財産の破棄の命令であり憲法違反である。しかもこれらの教範は実は秘密でもなんでもない内容が書かれている。
防衛省や自衛隊は世の中の軍隊の常識や現状を知らない。我が国はタダでさえ軍隊に諜報機関がないというハンデがあるにもかかわらず、公然的に情報や交流ができる軍事見本市やコンファレンスには殆ど顔を出さない。しかも10年ほど前まで「視察」は引退前の将官の「卒業旅行」と認識されており、視察に行った高官は「卒業旅行」後に退職していた。視察は情報収集という認識すらなかった。その予算は90万円ほどで筆者の年間取材費よりも少なかった。その世代の幹部や将官、内局の高官など上層部を占めている。
自衛隊のいう「トンデモ」な話を海外のメーカーに軍事的に整合性がもったように「通訳」するのが我々の仕事と言い切る商社マンを筆者は多く知っている。
自衛隊の通信や無人機用の電波周波数帯は軍用に適していない。そのため東日本大震災でも無線が通じず、また無人機を輸入しても日本仕様に合わせる必要があり、そうすると墜落しやすくなる。が、これは法改正も必要なく、総務省との話し合いだけなのだが、それが面倒くさいので放置しており、それで問題ないと主張している。
普通の政治家は軍事の勉強などロクにしていないので、防衛省や自衛隊のいうことが軍事の常識だと思い込んでしまう。特に自民党国防部会などが顕著である。これではまともな防衛政策など期待できるはずもない。
このような偏狭で軍隊として異端な「カルト教団」にお布施(予算)を大幅に与えれば、国防が全うできるだろうか。予算を増やす前に、まず閉鎖的で特異な宗教団体のようなドグマを取り去り、「健全な軍隊」にするほうが先である。それは優れて政治家の責任である。
注1)参考記事
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?①
https://japan-indepth.jp/?p=979
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?②
http://japan-indepth.jp/?p=994
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?③
http://japan-indepth.jp/?p=1011
■本日の市ヶ谷の噂■
よせばいいのに、イージス・アショアのSPY7をお手つきで発注してキャンセルする度胸もないので、これを『イージスステム搭載艦」として使おうとしたが、システムの図体があまりに大きくなり「令和の戦艦大和」と非難されたので、今度はSPY7のセルを少なくしてダウンサイズする。だが我が国がランチカスタマーとなるために、一切の試験はたった2隻を建造する我が国が負担する。このように2倍に増やす防衛費は有効に活用される、との噂。
どうも防衛省、自衛隊をカルトに酷似しているという記事は抵抗があるようです。
ですが、ぶっちゃけ防衛省、自衛隊は軍隊とは異質でその本質はカルト教団と同じです。
この歪んだ文化を是正しないかぎり、まともな軍隊になりませんし、個々の政策を批判しても
問題の根源は解決しません。
このブログを読んでいる方はご理解いただけると思います。
防衛省、自衛隊はカルト教団である。
そう考えると色々と説明がつく根幹的な欠点は多い。
こう言うと防衛省や自衛隊を愚弄するのかと批判もあろう。だがこの30余年、防衛省や自衛隊の多くの問題を指摘し続けて、その体質が変わらないことを見てきた身からすれば、それら諸問題の根源は、この組織のある種のカルトな文化に根ざすものだと確信する。
その最大の原因は、民主国家ではあり得ない情報隠蔽体質である。問題が国民の目に触れないので、外部から批判を受けることが少ないので、陰湿な隠蔽体質や、歪んだ組織文化が矯正されない。
政府は防衛費を大幅に増やす方向で検討しているが、このような政治、メディア、納税者の目が届かない「暗黒大陸」のごとき状態で予算を増やすことは適切ではない。実際に防衛費の無駄使いは目を覆うばかりのレベルだ。
1)外部に対して徹底的な秘密主義
端的な例は、10月に行われた危機管理産業展における、公開情報であるブッシュマスター(編集部注:輸送防護車)の内部の隠蔽だ。メーカーが公開している情報ですら秘密だと主張して納税者に見せない。外部に情報を出さない。それによって外部からの批判を極小化できるからだ。(参考:日本人は防衛の隠蔽体質の深刻さをわかってない)
11月10日には八重瀬町の陸上自衛隊南与座分屯地の周辺で訓練の様子を撮影していた琉球新報のカメラマンが、自衛隊員2人に撮影を制止され、撮影データの削除を求められるということがあった。筆者も以前第一空挺団の年頭行事である「降下始め」を取材時に展示スペースに軽装甲車にターゲットロケーター(編集部注:暗視装置)を搭載したものを撮影したが、写真の削除を求められた。
これらは民主国家の軍隊ではありえない。これは検閲であり、憲法違反である。更に申せば外部から見えるものは公開情報だ。件の軽装甲機動車でも隠したいなら展示スペースに出すべきではないし、必要な部分に袋を被せるなどすればよい。そもそも軍隊では普通に普及しているターゲットロケーターを「軍事機密」のごとく思っているのは「軍隊」として非常識だ。
防衛省や自衛隊のこのような過度の秘密主義は隠蔽主義にも通じている。情報開示のレベルは民主国家の「軍隊」としては落第レベルだ。納税者に対する説明責任を果たそうという意識が極めて希薄である。
それは組織を不透明にすることによって、外部からの批判を封じるためだ。防衛省や自衛隊の実態や問題点を政治や国民の目から隠すことであり、独善に走ることなる。だから陸幕の南スーダン派遣時の日報隠蔽問題のような事案が発生する。軍隊ではあり得ない不祥事だ。
公開すべき情報も、秘匿すべき情報も全部隠蔽することが組織の利益だと考えているので、何が本当に機密かわかない状態になっている。だから本来隠すべき情報を暴露したりもする。情報リテラシーが欠如しているのだ。これは「軍隊」としては致命的である。
2)度を越した被害妄想
自衛隊の隠蔽主義はなし崩し的に警察予備隊から「限りなく軍隊に近い行政機関」になったという出自があり、また長年憲法違反だと批判されてきたことがある。確かに70年代までの世論は自衛隊に厳しかったのは事実だろう。だが80年代以降自衛隊に対する国民の好感は向上している。現在では多数派の国民が自衛隊を支持している。だが未だに自分たちが世間から過度に批判されているという過剰な被害者妄想をもっている。これが徹底した秘密主義、隠蔽主義につながっている。
「教団」の外部は敵である。「教団」内部のドグマやルール、「教団の常識」こそが正しいのだという偏狭なカルト宗教に共通するイデオロギーを形成している。信じられるのは教団内部だけ。政治も、国民も「教団」を迫害する「法敵」であるという心情が防衛省や自衛隊内部に強い。だから情報を外部に隠す。そして世間の常識からかけ離れた組織防衛が強化される。その負のループが出来上がっている。
3)唯我独尊
このような世の中で唯一正しいのは自分の「カルト教団」でありその「教義」である。そういう認識だから外の世界、即ち他国の軍隊や社会の現実を知ろうとはしない。だから他国の軍隊が無人機やネットワーク導入しようとも無関心でいられた。
組織内でそれを指摘すると「異端者」といって組織内で魔女狩り、あるいは異端審問に会う。それは今の組織や装備体型の見直しが必須であり、ポストがなくなったり、予算や部隊が縮小されたり「損をする人たち」がでてくるからだ。例えば戦車を減らして、無人機を増やすならば、機甲科の予算やポジションが減る。それは許容できない、というわけだ。
だから現状を肯定し、その維持がいいのだ。だから防衛省や自衛隊は世界の軍隊の常識からどんどん外れ、時代から取り残されていく。
自分たちが唯一絶対に正しいので、外部の事を知る必要はない。そういう発想になるので、情報活動に不熱心である。例えば筆者が指摘するまで防衛省の装備開発関連の海外視察費は年間100万円以下であり、それも退職前の高官の「卒業旅行」にされていた。情報収集をするつもりはなかった。自衛隊の高級幹部と話しても現在の世界の軍隊の常識に疎い人が大変に多い。また、諸外国の動向にも関心がなくなる。
装備開発や調達のために、海外の見本市やコンファレンスにも関心がない。唯一の関心は組織防衛と、組織内の調和だ。だから例えば無人機を入れると、損をする「教団」内の派閥があれば導入しない。新規の装備を入れることによって、派閥内のポストや予算のバランスが崩れたりすることを防ぎたいから「絶対正しい組織」を見直してまで戦える集団にしようとは思わない。
だから防衛省、自衛隊のやっていることは全て正しい、それに疑問を持ったり、否定したりするものは、外部のメディアでも内部の隊員でも「教団の的」、「異端」と認識する。そのような「異端」は迫害されて組織を追い出される。良くても出世できない。それがおかしい、変だと思っていても、自分が「異端」あるいは「魔女」扱いされたくないから皆口をつぐむのだ。
だから「教団」の教義や現状を全肯定するする、「純粋」な信者だけが出世する。そうして異常かつ奇異なカルトな組織文化の度合いが更に深まっていく。
3)組織の不正やインチキを徹底的に隠蔽する
「教団」、そしてその「教義」は常に正しいわけから、それが間違っていると外部から指摘されても認めようとしない。そのような指摘は嘘であり、「悪魔の仕業」であり、教団に対する攻撃だと認識している。そして逃れられなくなると仕方なく、渋々と認める。
筆者は東日本大震災で無人機が一回も飛ばなかったとか、個人衛生キットが著しく劣っている事などを「都合の悪い真実」を告発してきたが、国会などで追求されるに至って渋々と認めてきた。
防衛省や自衛隊には更に下部の「教団」が存在する。それが航空科とか機甲科とか、衛生科とか装備庁とかである。これら「教団」の利益は防衛省や自衛隊全体の利益よりも大きい。だから幕僚長や大臣に引責辞任をさせても、ここの「教団」の利益を図るのだ。特に大臣などは初めから外部の人間であり「信者」ではないのだ。
陸幕による南スーダンの日報隠しで、稲田防衛相や陸幕長が辞任に追い込まれたたり、最近の女性自衛官へのセクハラ問題などその好例である。
「唯一無二の素晴らしい教団」で「絶対の素晴らしい教義」を持つ防衛省や自衛隊でセクハラ、モラハラ、パワハラなどの「悪いこと」が起きるはずがない、だからそう外部に主張する。このためにも情報を隠蔽する。そして被害者を「異端者」として弾劾するのだ。海自のいじめによる自殺の組織的隠蔽などがその典型例だ。そして被害者が出ていくようにするのだ。
岩田陸幕長時代、筆者は陸自の個人携行衛生キットの不備を取材していた。このため陸幕広報室に、陸幕衛生部に対する取材を申し込んでいた。ところが担当者からは全く連絡がなく、メールやFAXで催促しても連絡がなく、電話をかけても「不在」であると言うばかりだった。
筆者はこれを岩田陸幕長に会見で質したら、広報室長の松永康則1佐が担当者に居留守を使えと命じていたことが判明した。後に松永一佐は陸将補に昇進するはずが、昇進を見送られて地方本部に飛ばされた。だがその後半年で陸将補に昇進している。民間企業ならば懲戒ものだ。しかも陸幕からは謝罪もなかった。
そしてこのことを中谷大臣に質問し、書面で回答をえた。
陸幕広報室長、松永康則1佐の見識 「嫌な質問にはバックレていい」それは陸幕長のお墨付き
https://kiyotani.seesaa.net/article/201504article_6.html
(以下、引用)
Q1 広報室長が陸幕長の命令を拒否していいのか。また陸幕ではこのような上官の命令無視が普通に起こっているのか。
A1 平成26年11月6日の陸幕長定例記者会見においては、陸幕長は、「適切に対処」するように命令したとご指摘にあるが、「調整させる」と発言したものと承知している。この際、貴殿より“個人携行救急品”について質問を受けたことから、同年11月25日及び12月25日、正確を期すためもあり、陸幕広報室は文書(メール)をもって回答し、併せて参考資料も提供したものと承知している。このことから、陸幕長の命令を拒否しているというご指摘にはあたらないと考える。
Q2 何らかの都合が悪いことに関して回答をせず、黙殺するのは広報の態度としてどうか。
A2 ご質問は、“直接取材できない理由及び直接取材させないことを判断しているもの”に関する質問に広報室が回答しないことに発したものと考えるが、そもそも取材依頼があったと認識していないことから、回答すべき状況にあったとは考えていない。
取材は、各社共通で、取材依頼を文書(メール)にて送付いただいた後に、取材受けの可否を含めて判断し、対応しているところである。取材を希望されるのであれば、まずは、取材目的、取材内容、報道予定等を記載した取材依頼を陸幕広報室に送付いただきたい。
(引用おわり)
木で鼻をくくったような回答で、防衛省、自衛隊は無謬だと言わんばかりである。だがその直後陸幕長から指示があったのか、衛生部は筆者のインタビューを受けている。
この件で陸自の個人携行衛生キットが米軍などに比べて著しく劣っていることが、広く認識されて、大野元裕参議院議員(元埼玉県知事)ら野党が動いて、向上のための補正予算が組まれた。筆者が「居留守」で諦めていたら、陸自の衛生キットは貧相なままだったはずだ。この件でも如何に自衛隊、防衛省の隠蔽体質が根深いものかわかるだろう。
このような例もある。陸幕装備部は、陸自の装備調達を司る部署だが、その装備部はかつて拙著「防衛破綻」(中央公論新社)について正誤表を作成した。ところかこれがウィキペディアや、下手をすると2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などを参照に作成されたと思われる杜撰なものだった。(注1 参考記事)
また軍事用語を自衛隊用語ではないから「誤り」であると断じている箇所もあった。これが自衛隊の内部文書であればそうだが、一般書籍である。より一般的な軍事用語を使うことのどこがいけないのか。作成者は内部の書類は目を通しているのだろうが、軍事関係の書籍すら読んでいないらしい。
陸幕広報室の説明によると、内容を精査した結果、正誤の指摘箇所は当初の51箇所からもわずか3箇所に減っていた。しかし筆者が見る限り、その内2箇所は単に国交省との法解釈の見解の相違だった。しかも筆者が気にしていた誤りは指摘されていなかった。
筆者も自衛隊の情報のレベルは低いとは感じていたが、正直これほどとは思わず、大きな衝撃を受けた。だが、仮にこの正誤表を見た人物は筆者のような市井のジャーナリストよりも「権威ある陸幕装備部」の主張を信じるだろう。
筆者は陸幕広報室を通じてこの「正誤表」の全文の提供と事実関係を書面で回答するように依頼した。広報室は当初は提供すると言っていたが、広報室に出向いて見ると提出は断られ、かわりに陸幕広報室から口頭で説明と謝罪があった。役所では書類で残らなければその事実は存在しないに等しいからだ。だからできるだけ書面による回答を避けるのだろう。書面さえ残らなければ謝罪した事実は隠蔽できるからだ。
この件は後に2013年に小野寺五典防衛大臣に会見で件の文書の公開を求めた。だが広報官の説明によると「正誤表」は公開対象文書ではない、内部文書であり、公開できないとのことだ。つまりこのレポートは「正誤表」ではなく、正しい記述を誤りであるとした「誤正表」であった。だが筆者が入手した部分を見る限り、機密に属する記述はまったく無かった。つまり「謝るのが嫌」だっただけだ。
このようなアマチュア以下の粗雑な書類は多く防衛省で作成されているだろう。だが、それが露見しても謝罪も認めもしないのであれば、いつまで経ってもそのようないい加減な文書が作成され続け、それに基づいて政策含めて各種の判断がされることになる。
世界有数の経済大国の「軍隊」が、ウィキペディアや2ちゃんねるの情報を元に運営されている可能性があるのだ。これは機密漏洩以上に恐ろしい話ではないか。
少し古いがこういう話もある。1999年12月号 月刊「軍事研究」で当時朝日新聞編集委員だった田岡俊次氏が防衛大学校の防衛学教官を中心とする十五人が分担執筆した「軍事学入門」(かや書房刊)に初歩的な誤りがあまりに多いことを指摘して、それが防衛省内部で大問題となった。(参考記事部外との知的交流を妨げるな! 自衛官よ、他流試合を恐れるなかれ<朝日新聞編集委員>田岡 俊次)
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01257/contents/449.htm
(以下、引用)
>>“防大の恥をさらした。間違いだらけの本を学生にも買わせたことを謝罪すべきだ。とか、こんな非常識な誤りを書くような人には教官の資格はない、など防大内でも防衛庁内局からも非難が激しい。二度と外部で本を出せない雰囲気です」と異口同音に訴えられる。
>「それは逆。これまで仲間うちの防衛学会とか、揚げ足を取らない防大生だけ相手にしていたから粗雑になった。部外で読まれる本を出し、世間の風にさらされて学問は進歩し、相互批判を重ねて精密になる。スポーツの全国大会に出ればエラーして野次られたり、評論家に酷評されるのも当り前。それがこわいから、対外試合を禁止、校内の練習試合だけにしようというのでは進歩しないどころか、退化するだけじゃないですか」とお答えし、要路の方々にも、教官がこれで怯むようなことはないように、とお願いしてはおいたのだが、考えれば考えるほど、ことは教官の執筆の是非、という小さい問題ではない。
>>新聞の記事だけに、一般の人に分りやすい誤りの例をあげたが、軍事的な誤りや疑問は四、五十個所はある。
>防衛大の陸戦史の教官が同誌に書いた僅か二ページのエッセーには「セルビア独立派の闘士がオーストリア皇太子を暗殺して」第一次大戦が始まった、など深刻な誤りが数か所もあった。社に送られてきたセキュリタリアンを見て、私が「これはこれは」と笑い出したら、側にいた同僚(全く軍事問題の専門家ではなく、スペイン圏と中南米が専門)が「何ですか」とのぞき込み「エーッ、第一次大戦はオーストリアとセルビアの戦争が波及して拡大したのですから、セルビアはとっくに独立していた。高校の世界史で習うことで常識じゃないですか、こんなことを防大の戦史の教授が書くんですか」とあきれていた。
>>制服自衛官と外務、防衛官僚が、米国その他外国の軍人と会議などで同席する機会が増えたため、自ずと比較され、「識見や視野の広さに大差がある」との声は他省庁の役人からも聞かれる。もちろん比較論は相手のどの部分とこちらのどの部分を比べるかで全くちがってくるから一概に言えないが、米軍などの将校の方が一般教養の水準が高い印象はある。私自身、日本の幹部学校などに留学した経験のある米軍将校から教育内容などについて酷評を聞いたことがある。また米国の外交官から「航空自衛隊の某部隊に隊付勤務した米軍の将校は、日本の将校は馬鹿ばかりだ、と言ったが本当にそうか」と聞かれ「言葉の問題で高度の話ができないため、そんな印象を受けたのだろう」と答えたこともある。また「演習が儀式化し、誰も面子を失わないようにしている。どこに問題があるかを発見するのが演習ではないのか」という評も米軍将校から聞いた。各種の制約があったり、説明が十分にできず誤解を生じたりすることもあるのだろうが、思い当たるふしがなくはない。
>部下からも「人前には出せません」と言われるような人が代表的な地位につくのは問題だ。
>自衛隊幹部、防衛大教授の間からは「自衛隊幹部に広範な軍事史や他自衛隊について勉強しない人が多いのは自分たちが重要な決定に関し発言する立場にないためだ。社会的地位の低さが基本にある」という声もでる。即座に「まるで不良少年の言い分。親が悪い、世間が悪いから勉強しないというのと同じだ。ちゃんと勉強している自衛隊幹部もいるではないか」と切り返したのだが、こうしたことを自衛隊幹部自身が言うことの当否、体裁はとにかくとして、客観的にはそうした要素が若干あることも否定しがたい。
(引用おわり)
防衛大学の教官でこのレベルである。その後田岡氏の指摘が契機となってその後の「軍事学入門」の改訂版ではこのような間違いが無くなった。
適切な外部からの監視や指摘、批判がなければ、その組織は組織内部の利害だけで行動し、そのような隠蔽体質がより深くなるのはどの組織でも同じだ。防衛省、自衛隊では社会的なモラルにとどまらず、専門知識や教養の劣化がひどく、軍隊とはいえないレベルだ。その根底にあるのが過剰な秘密主義にある。
4)外部協力者への厚遇
「教団」が如何に素晴らしいか、信者がいかに幸せかを外部に向かってアピールする。それは資金(予算)と新たな「信者」(職員、自衛官)の獲得のためである。だから「教団」のリソースと潤沢な予算を使って、自分たちの味方をしてくれるようなメディアやジャーナリストを取り込もうとする。安倍晋三元総理や自民党の議員らと旧統一教会との関係と全く同じだ。
自分たちを批判することなく、提灯記事を書いてくれる記者クラブや軍オタ媒体、その記者には取材機会をどんどん与えて厚遇する。筆者も昔陸幕広報部の報道担当者から自衛隊に有利な記事を書くならば、書籍などを大量に買い取ると言われたことがある。無論即座にお断りした。
このため世間には報道と言うより広報的な防衛省、自衛隊スゲー的な、記事が溢れている。逆に筆者のように「不都合な事実」を調査報道で暴く記者は「悪鬼」のように忌み嫌われる。筆者のような調査報道をするジャーナリストは、我が国では他国では当たり前に公開されている情報も公開されていないので、まるでサリバン先生がいないヘレン・ケラー状態で仕事をしている。
政治家に対する「ご説明」も同じだ。政治家に対して防衛省や自衛隊は個別に予算や政策に関してレクチャーをする。だが軍事の情報から大きくずれている怪異な集団であることを政治家は得て知らない。他に比較ができないからだ。厚労省であれば医師、法務省であれば弁護士ら在野の専門家からセカンドオピニオンを取ることができるが、防衛はそれができにくい。
唯一の「専門家集団」である防衛省、自衛隊から言われたことを政治家は鵜呑みにする。筆者は民主党政権時代それまで防衛省には批判的だった、大臣や政務官らが「洗脳」されていく様子をみて愕然とした経験がある。
故竹村健一氏では「日本の常識は世界の非常識」と喝破したが「自衛隊の常識は軍隊の非常識」である。その軍事的に非常識な主張が政治家に一方的に注ぎ込まれている。軍隊の常識を無視した独善な情報を「軍事の常識」としてレクチャーされ、洗脳されるのだ。
例えば陸自では本来支給すべき装備などの教範を自腹で購入させていた。それを使用後は廃棄させていた。それは私有財産の破棄の命令であり憲法違反である。しかもこれらの教範は実は秘密でもなんでもない内容が書かれている。
防衛省や自衛隊は世の中の軍隊の常識や現状を知らない。我が国はタダでさえ軍隊に諜報機関がないというハンデがあるにもかかわらず、公然的に情報や交流ができる軍事見本市やコンファレンスには殆ど顔を出さない。しかも10年ほど前まで「視察」は引退前の将官の「卒業旅行」と認識されており、視察に行った高官は「卒業旅行」後に退職していた。視察は情報収集という認識すらなかった。その予算は90万円ほどで筆者の年間取材費よりも少なかった。その世代の幹部や将官、内局の高官など上層部を占めている。
自衛隊のいう「トンデモ」な話を海外のメーカーに軍事的に整合性がもったように「通訳」するのが我々の仕事と言い切る商社マンを筆者は多く知っている。
自衛隊の通信や無人機用の電波周波数帯は軍用に適していない。そのため東日本大震災でも無線が通じず、また無人機を輸入しても日本仕様に合わせる必要があり、そうすると墜落しやすくなる。が、これは法改正も必要なく、総務省との話し合いだけなのだが、それが面倒くさいので放置しており、それで問題ないと主張している。
普通の政治家は軍事の勉強などロクにしていないので、防衛省や自衛隊のいうことが軍事の常識だと思い込んでしまう。特に自民党国防部会などが顕著である。これではまともな防衛政策など期待できるはずもない。
このような偏狭で軍隊として異端な「カルト教団」にお布施(予算)を大幅に与えれば、国防が全うできるだろうか。予算を増やす前に、まず閉鎖的で特異な宗教団体のようなドグマを取り去り、「健全な軍隊」にするほうが先である。それは優れて政治家の責任である。
注1)参考記事
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?①
https://japan-indepth.jp/?p=979
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?②
http://japan-indepth.jp/?p=994
自衛隊の情報源はウィキペディアや2ちゃんねる?③
http://japan-indepth.jp/?p=1011
■本日の市ヶ谷の噂■
よせばいいのに、イージス・アショアのSPY7をお手つきで発注してキャンセルする度胸もないので、これを『イージスステム搭載艦」として使おうとしたが、システムの図体があまりに大きくなり「令和の戦艦大和」と非難されたので、今度はSPY7のセルを少なくしてダウンサイズする。だが我が国がランチカスタマーとなるために、一切の試験はたった2隻を建造する我が国が負担する。このように2倍に増やす防衛費は有効に活用される、との噂。
この記事へのコメント
バカ丸出し、素直にキャンセルしてキャンセル料払えば良い物をドンドングダグダのまま低性能、怪しい物作って軍ヲタを変な方向で喜ばせると言う…
ダメだこいつら…弱体化一直線でも誰も疑問に思わない所がもう…
これ全部幹部自衛官がボソッとつぶやいたセリフですよ。こんな世の中のことを全く知らない人達が出世していくんですよ。
https://mainichi.jp/articles/20221207/k00/00m/010/262000c
教団も改名する様で。
略称はどうなるかな?空宙自?
英語もJASDFからJASSDF?
>どうも防衛省、自衛隊をカルトに酷似しているという記事は抵抗があるようです。
日本に媒体はあっても、報道機関が在りませんから。
>ですが、ぶっちゃけ防衛省、自衛隊は軍隊とは異質でその本質はカルト教団と同じです。
この歪んだ文化を是正しないかぎり、まともな軍隊になりませんし、個々の政策を批判しても
問題の根源は解決しません。
>このブログを読んでいる方はご理解いただけると思います。
営内に居た事の有る人なら、心当たり有りすぎでしょう。
外部の助言異見に対して、反発どころか敵愾心まで燃やす。
企業なら顧客から駄目出しを受けますが、独占企業にはありません。(残念)
https://jisin.jp/domestic/2156980/?rf=2
「隊員不足は解消しない」“防衛費GDP比2%”の効果に疑問符
https://jisin.jp/domestic/2156986/?rf=2
ご参考まで。
その通りとしか言えないですね。実に良い例えだと思います。
オウム真理教を笑えない。統一教会を笑えない。
なんとなれば政治家とカルト教団との親和性は
閉鎖性から来ているのではないかと。
同じく閉鎖組織の自衛隊も親和性が高そうですね。
結局見えないところで好き勝手できる、
説明不要で楽ができる事が秘密主義に陥るのでしょうか。
説明して納得して理解し、同意してもらうまでは
かなりのエネルギーを使いますからね。
お題目を唱えて拝んでいればお金が天から降ってくる
のも同じかも知れません。財源が国民の懐というのも
共通ですからね(呆)。
ひゃっはーさんが見聞きした事象。
部外への極端な無関心。
そしてそれを善しとする組織の体質。
カルトそのものです。
でもこの性質、自衛隊だけでしょうか?
政党・大企業・業界・学界・大学。
身内の論理に染まりきり、世界の中での自身の観られかたに無関心になってるところもあるのでは無いかと。
たぶん炎上や不祥事はそんな所から起きるのかと。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022120800828&g=int
なんと日本も出展しているようです。
はてさてどうなることやら。
と言うか中韓の展示会には出展しないのに
ベトナムだったら良いのかと。買ってくれそうだから?
ご参考まで。
https://grandfleet.info/european-region/suicide-type-unmanned-aerial-vehicle-under-development-by-ukraine-put-into-combat-as-early-as-the-beginning-of-the-year/
80億の有人戦闘機が4億の無人戦闘機に、雲蚊の如くたかられる。
向こうは人的被害無し、こっちは虐殺されるのは必定。
馬鹿保守と将官の皆さん。
増税なんて馬鹿な事言ってないで、トルコ詣でしなさいよ。
んでもって日本に無人戦闘機の生産ラインを誘致しなさい。
多分残された時間も予算も残り僅かなはず。
アメリカに引っ付いてれば安全かどうか、良く再検討すべきだ。
アメリカの勝算の中に、日本が含まれて居るか良く考えた方が良い。
やはり自衛隊の指揮官のレベルは低い。とても高いとは思えない
実戦経験の有無も大きいとは思うが戦史での知識も低いので恐らく基礎も実践もダメなんだろう
毎年、殉職者の慰霊祭や神社の参拝は熱心にやっていても、神と仏はどう違うんだ、キリスト教徒とイスラム教徒は何であんなに仲が悪いんだ、みたいな話はどのくらいの幹部が理解しているんでしょうかね。
そして清谷さんの体験談によると、陸幕の広報部は防衛大綱を読んでいない。
まあ、こんな人たちは駐屯地と演習場と官舎以外の場所では生息できないんじゃないのでしょうか。実戦で住民の保護とかできるんですか?
PTSDは事件や事故等の強烈かつ断片的な記憶を統合できない事が脳の機能を低下させる事で起こると聞いた事があります。それから考えるとカルトの洗脳は「矛盾だらけの教義を無理やり押し込む事で脳の機能を低下させる」事なのかも知れません。自衛隊が「カルト化」したとすれば、それは日本(の政治家、ひいては有権者・納税者)が「軍事的合理性のかけらも無い、支離滅裂かつ朝令暮改な事」を押し続けてきた事にも一因があるのかも知れません。F4からわざわざ爆撃装置を外させたのも空自としては「目の前で陸自の部隊等が敵にやられている時に指をくわえて見ている訳にはいかない」だったのかもしれませんが、爆撃と言えば「戦時中B29が日本中の都市を焼け野原にした」しか思い浮かべられず、「それは戦略爆撃、F4で戦略爆撃など不可能」と言っても「爆撃は爆撃だろう」と言い返す連中を無視できなかったからではないかと思っています。最近で言えば「ウクライナの次は北海道かも」「ウクライナは地続き、かつ同じ旧ソ連で内部もある程度分かっている、かつウクライナとの戦闘でロシアは疲弊・消耗の真っ最中」「何でお前は俺達の心情に寄り添わないんだ」でしょうか。それで自衛隊の側は「外部の言う事なんかに耳を傾けたら振り回されて疲弊するだけ、最悪空中分解させられない。」とでも思うようになったのでしょう。その結果清谷様他の真っ当な意見も耳に入らなくなるばかりか、自らを検証する事もできなくなった(「疑ったら負け」か)のではないかと。このあたりは「文明開化と敗戦後の二度外に潰されかけ、その結果暴行・薬物・八百長とある意味反社みたいになった相撲協会」にも似ているようにも思えます。