陸自の攻撃ヘリはロイホックという選択もあった。

陸自の攻撃ヘリはロイホックという選択もあった。以前そう書いたら「頭の悪い軍オタさんたち」が鼻で笑っていました。

ですが、その「頭の悪い軍オタさんたち」が大好きなアメリカ軍のAH-64Dを採用してどうなったでしょうか。でも「頭の悪い軍オタさんたち」は情緒と好き嫌いでしか判断できない情弱である自身の不明を恥じることはありません。

90年代から欧米でも南アの兵器に注目が高まり、耐地雷装甲車や地雷処理車輌などが導入されました。ロイホックもジェーンズなどの軍事専門誌でも多く取り上げていました。箸にも棒にもな機体ならばそこまで取り上げません。
これは自衛隊も同じで、南アの装備に関して

そして実際に英軍の攻撃ヘリの候補にもなっていました。

陸自がロイホックを導入した場合のメリットは多数ありました。
1) 価格が安い。
特にアパッチに比べて価格は相当安かった。アパッチが高いのはそのネットワーク機能にありましたが、陸自はそれを自らダウングレードしてモンキーモデル化しました。そのくせ調達コストは3倍も高くなりました。

2)ライセンス国産が容易。
ロイホックは基本的にスーパーピューマの駆動系を使っています。ですからこれらを輸入すれば安価にライセンス生産ができます。また専用コンポーネントを使っていないので、パーツやコンポーネントも安価に入る。「頭の悪い軍オタさんたち」はこういう視点がありません。
3)維持整備費が安い。
上記の通りスーパーピューマのコンポーネントを使っていますから、部品も安いので維持整備費が低減できます。「頭の悪い軍オタさんたち」は単に自分の押しの兵器がすきなだけなので、こういう現実的な発想ができません。

4)前線での整備が楽。稼働率が高い。
南アはアンゴラなどでの越境作戦が多く、兵站に多くのアセットを使えませんでした。ですから前線で容易に整備や修理でき、前線での稼働率を高くする努力をしてきました。当然ロイホックもそういう思想で、前線での整備性が高い機体です。それはつまり高い稼働率が高いということです。
これは最近になって注目されてきましたが、軍事のプロならば当然重視する要素です。ですが好き嫌いでしか見ない「頭の悪い軍オタさんたち」はこういうことが理解できません。
5)航続距離が長い
最大航続距離は380海里、アパッチは220海里です。島嶼防衛ではこのような長い航続距離は大変有利だと思いますが、「頭の悪い軍オタさんたち」は理解できませんでした。

6)拡張性、冗長性が高い。
駆動系がスーパーピューマであり、機体も大型で冗長性があります。ですから将来に渡る近代化に有利です。そして米国のようにあれこれ縛りがないので、国内でのカスタマイズも自由にできました。


これらの要素を鑑みれば、ロイホックを候補に上げることは決して夢想的な話ではありませんした。南アとの繋がりも深い英国はですから偏見なく候補として検討したわけです。対して自衛隊はそのような知見がなく、アフリカというと野生動物ぐらいの知識しかありませんでした。

現在の状況を鑑みれば、もし陸自がロイホックを60機ほど導入していれば、戦闘ヘリ全廃などいう惨状にはなっていなかったのではないでしょうか。

防衛装備を好き嫌い、あるいはカタログスペックだけで語るのは、「頭の悪い軍オタさんたち」どうして行えばいいと思います。その意識で国防を語ると大変問題があるかと思います。


Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
陸自「次期装輪装甲車にAMV」の問題点
https://japan-indepth.jp/?p=71629



■本日の市ヶ谷の噂■
防衛省の会議では厄介な事案や、問題提起の発言は事前調整が無い場合は議事録から消される、との噂。

この記事へのコメント

やれやれ
2022年12月10日 20:17
大型無人機 近く運用/三沢配備「偵察航空隊」編成へ
https://www.toonippo.co.jp/articles/gallery/1443888?ph=1
ようやく飛ばす様ですよ。
もう直ぐ交換部品も無くなってゴミになると言うのに…何のためにこんなのを買ったのか…
やれやれ
2022年12月10日 20:29
ロイホックも良いですが、それならUH2魔改造とか
アホな軍ヲタとか酷使様が言いそうですね。
F2が退役するからバイパー継ぐものとか言いそう。
やはり普通のヘリ増やして戦闘ヘリは無しで良いのではないでしょうか。危ないことはドローンにやらせましょう。

■本日市ヶ谷の噂■
舐めてるんですか?ロクデナシにも程がある。
こんな連中ばかりだから弱体化が加速して
組織防衛隊になると言うのに。
まあその為にやっているんでしょうけど(呆)。
愛される防衛省自衛隊の道のりは月より遠そうですね。
KU
2022年12月10日 20:31
>>>AMV

導入が決まったと思ったら早くも波乱の予感ががが(^_^;)。しかも、ラ国生産の担当を、これから探すんですか?てっきり、国内向け仕様の改修を担当した日立が、そのまま選ばれるのかと考えていましたが。共通戦術は共通戦術で、これまたダメダメぢゃないですかorz。これも大人しくAMVに切り替えたほうが宜しいのでは...?けど、開発を主導した陸幕の担当者のメンツでんでん他の大人の事情最優先で、意地でも導入に邁進するんだろうなあ...
偽陸士
2022年12月10日 22:28
KU様。

う~む。

ドローンやAMV、テンペストが決まっても安心出来ないところが何とも。

全部輸入で良いでしょうに。(呆)
なるべく安く車体と予備部品を買った方が断然数が揃います。


やれやれ様。


攻撃ヘリは要らんとしても、Coin機は欲しいですね。

救難ヘリの護衛に要るかと。
ミスターフリゲート
2022年12月10日 22:58
>AMV

折角いい情報かと思ったら、スペックとか載せる装備とかの詳細がわからないって、まだ問題あんのですかいな。いつまでこんなのが続くんだホント。
みちょぱ
2022年12月11日 11:33
解説】ウクライナは「攻撃ヘリの墓場」になるのか
https://www.afpbb.com/articles/-/3408513

フランス軍特殊部隊のヘリ分遣隊を率いたパトリック・ブレトゥス氏によるとヘリコの時代が終わった訳では無い。らしい...
日本の有事だと少数の兵力が携行SAM持ってるぐらいですかね。

砲戦術家黛治夫のラムアタックなどの古い戦法も活用すべしじゃないけど、ヘリコの運用構想?が上手くいっていれば...
偽陸士
2022年12月11日 13:51
みちょぱ様。

AH-はドローン・Coin機と値段・滞空時間・航続距離・速度共にコスパが悪いかと。

さらに射出座席が無い。
MANPADSの射程高度より上に上がれない等、欠点が目立ちます。
しかも最近のMANPADSは昼夜関係無く使用できます。

強襲揚陸艦から使う分にはいいかもしれませんが.....
みちょぱ
2022年12月11日 18:27
ロイホックだったらという意味ですが。
ジョニーK
2022年12月11日 21:56
島嶼防衛なんかにに汎用ヘリの武装化は良いアイデアだと思ってしまいますね。
広っぱ有ればヘリは飛んでいけますからね。
本当にもったいないですね。
総火演でチヌークの進入から高機動車を降ろすまでの流れを生で観て映画などの鈍重なイメージが吹き飛びました。
キヨタニさんの指摘がかなり痛いところを突いてるようですね。
予算増やせば防衛が成るなんて論調が増えてますね。
本当の日本の国防の危機はこれからのようです。
微力ながら応援しております。
偽陸士
2022年12月11日 23:26
みちょぱ様。

ロイホックも一昔前ならアリかなと思います。

ただMANPADSも昼夜関係なく使える様になり、値段も5000万円から500万程度になると流石に30億前後のヘリを差し出すのは割りに合わないかと。

それにドローンもAAMを使い始めると、ヘリでは危険です。

妨害装置も機動性もCoin機の方が強力です。
みちょぱ
2022年12月12日 01:25
ロイホックなどを選択しておけば全廃しなくてすんだのかな~。という意味ですよ。
偽陸士
2022年12月12日 10:39
みちょぱ様。

>ロイホックなどを選択しておけば全廃しなくてすんだのかな~。という意味ですよ。


攻撃ヘリが主役から脇役になるのは避けられませんが、現状みたく壊滅状態にはならなかったし貴重なパイロットを失わずに済んだのは間違いありませんね。
ブロガー(志望)
2022年12月18日 09:07
お邪魔します。
 攻撃ヘリをあたかも「空飛ぶ戦車」というか「怒涛の如く押し寄せる敵戦車を殲滅する超兵器」といったイメージで捉えていたから、そのイメージに合致していたのがアパッチだったのでしょう。「地上部隊の近接航空支援」と捉えていればロイホックも視野に入ったでしょうし、アパッチも実際のところは「味方の戦闘機・攻撃機が打ち漏らした敵戦闘車両を叩く」のが任務だったのかも知れません。余談ですが今前線でヘリに求められている事の一つは「戦傷者を迅速に後方に運ぶ」事ではないかと思ったりもしますが、未だに「負傷した戦友を置いて突撃し、戦闘が終わった頃には戦友は亡き人になっていたという軍歌『戦友』」の感覚の人間がいるのかも(『ガッチャマン』最終回のように「地球が消滅するか否か」とかなら別ですが)。

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