陸上自衛隊の小火器選定は異常でアマチュアレベル。

Australia’s Lethality System Project for Next-Generation Small Arms
https://euro-sd.com/2022/11/articles/28409/australias-lethality-system-project-for-next-generation-small-arms/

オーストラリア陸軍では次世代の小火器の包括的な計画を公開しています。小銃本体だけを調達する陸上自衛隊とは大違いです。


オーストラリアでは、陸軍の次世代小型武器調達のための大規模な計画、LAND159(別名リーサル・システム・プロジェクト)と呼ばれるプログラムが進行中です。
オーストラリア国防省によれば、「オーストラリア国防軍(ADF)に、次世代兵器システム、監視・目標捕捉補助装置、弾薬、施設、訓練・支援システムを装備する」ことが目的とされています。
LAND159は、豪国防軍の地上部隊が2030年以降も仮想敵に対する戦力の優位性を維持できるため、多数のカテゴリーにおける小火器と支援火器の包括的な取得プログラムであり、大きく3つのトランシェに分けられます。

第1段階は、ADFスナイパー・システムとADF接近戦システム。ADF スナイパーシステム。中距離対人狙撃能力、長距離対人狙撃能力、対資材狙撃能力、狙撃監視能力、および「狙撃兵戦闘アンサンブル」と称されるものから構成されます。
ADF近接戦闘システムは、「ロープロファイリング・システム」とされ、サイドアーム・システム、格闘戦闘システム(ファイティングナイフ)、ショットガンシステム、アサルトブリーチシステムと称されるものから構成されます。トランシェ1は、22/23年度から24/25年度にかけて実施される予定。

トランシェ2は、24/25年度から26/27年度にかけて実施される予定で、その他3つの個別能力ストリームで構成。最初は近接戦闘アサルトライフルで、現在使用されているThales Australia EF88 5.56 × 45 mmシステムに代わるもの。2つ目の能力は、軽機関銃、中機関銃、重機関銃の機関銃群。軽機関銃は5.56×45mmのFN MINIMI(F89)と7.62×51mmのMAXIMI、中機関銃は7.62×51mmのFN MAG(GPMG)、重機関銃は12.7×99mmのBrowning M2HB(.50 BMG)の更新。

トランシェ2の3つ目は、直接火力支援兵器と手榴弾のシリーズ。これは、M72軽対戦車兵器の代替となる短距離直接火力支援兵器と、カール・グスタフM3の代替となる中距離直接火力支援兵器を対象としています。
後者については、オーストラリア陸軍が2021年にCARL GUSTAF M4の試験運用を行っていた。長射程直接火力支援兵器の要求もあり、これは現在オーストラリア陸軍がJAVELINシステムをこの用途で運用していることから、ミサイルシステムになる可能性が高いでしょう。
現在の 60mm と 81mm の迫撃砲を置き換える軽量迫撃砲も必要。F1 破片擲弾筒の後継手榴弾も調達予定で、発煙弾、気絶弾、対暴動弾、焼夷弾など、さまざまな種類の弾種も予定されています。

26/27年度から28/29年度にかけて実施される予定の第3段階(Tranche 3)については2つの能力ストリームからなり、ひとつめ、軽量自動グレネードランチャー(AGL)を含む弾薬、非致死性弾薬、遠隔起爆弾薬など。もう一つは、「将来型装備」で、無人兵器システムや徘徊型自爆UAVに対する要求があります。

選定の手順や候補などは記事を読んでいただくとして、防衛省、自衛隊の調達システムとは大きく違うことが理解できるでしょう。将来の装備体系とその選定方式を事前に公開して納税者はプロジェクトの概要を知ることができます。

これを「相手に手の内をさらない」としてひた隠しにして、結果クズを調達する防衛省、自衛隊とは大きくことなります。

実際20式小銃にしても選定は小銃本体だけでで、光学照準器やアンダーバレル式のグレネードランチャーその他のシステムは構想も、調達実態も明らかにされて降りません。
そして小銃も30年掛けて調達する。例によって人数分しか調達されないので、整備にだせず、コンディションは悪い状態となります。これで実戦なんかできるわけがないでしょう。

「自衛隊の常識は軍隊の非常識」
「自衛隊の常識は世間の非常識」
「自衛隊の常識は世界の非常識」

であります。


●東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
自衛隊の装備稼働率が防衛費増でも向上しにくい訳
装備調達の構造的欠陥を放置したままでいいのか
https://toyokeizai.net/articles/-/641769

防衛省の「次期装輪装甲車」決定に見た調達の欠陥
体系的に進められず問題意識なき前例踏襲が続く
https://toyokeizai.net/articles/-/640971

●Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
軍拡政策はアベノミクスが失敗だったから
https://japan-indepth.jp/?p=71966

●European Security & Defence 誌に以下の記事を寄稿しました。
The Sun Sets on Japan’s Defence Industry
https://euro-sd.com/2022/12/articles/28449/the-sun-sets-on-japans-defence-industry
防衛省の「次期装輪装甲車」決定に見た調達の欠陥
体系的に進められず問題意識なき前例踏襲が続く
https://toyokeizai.net/articles/-/640971

●Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
軍拡政策はアベノミクスが失敗だったから
https://japan-indepth.jp/?p=71966

●European Security & Defence 誌に以下の記事を寄稿しました。
The Sun Sets on Japan’s Defence Industry
https://euro-sd.com/2022/12/articles/28449/the-sun-sets-on-japans-defence-industry/
防衛省の「次期装輪装甲車」決定に見た調達の欠陥
体系的に進められず問題意識なき前例踏襲が続く
https://toyokeizai.net/articles/-/640971

●Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
軍拡政策はアベノミクスが失敗だったから
https://japan-indepth.jp/?p=71966

●European Security & Defence 誌に以下の記事を寄稿しました。
The Sun Sets on Japan’s Defence Industry
https://euro-sd.com/2022/12/articles/28449/the-sun-sets-on-japans-defence-industry/

■本日の市ケ谷の噂■
陸自のAH、OH-1の全廃を受けて、既存機の武装化という指針となったが、その既存機にOH-1を含めて、OH-1の存続を画策する勢力が存在、との噂。

この記事へのコメント

偽陸士
2022年12月26日 15:14
「相手に手の内をさらない」

一見真っ当な言い分に聞こえますが、民主主義を標榜する国家がやっては不味いでしょう。

何でもかんでも公表しろと言ってるんじゃありません。

基本、行政がその活動で得た情報や文書は国民の物です。


例外は在るでしょう。

同盟国や製造元等、政府が相手方との約束で秘密にするもの。

個人情報等、テロ対策ならずとも外部に出せないもの。

それ以外は公表すべきかと。

モグたん
2022年12月26日 15:45
マクレガー大佐派 予言外しまくり派の予言
用田陸将 11月の攻勢でウクライナ軍殲滅

矢野陸将補 ロシア軍による冬季攻勢が始まりました。54万のロシア軍と十四万のベラルーシ軍でウクライナ全土を制圧するでしょう。

アメリカの犬派
小川陸将 キエフ再侵攻は失敗するので多分起こらない。ウクライナ軍優勢ではあるがウクライナ全土からロシア軍を追い出すことはできないだろう。ロシア軍は、消耗戦しか実施出来なくなっている。

渡辺陸将
ロシア軍のキエフ再侵攻は、可能性が低い。ロシア軍は装備から見て攻勢に出れないと思う。
ウクライナ軍は冬季攻勢で陸の回廊を分断しに動くだろう。

意見が真逆でおもろいっすね
二読者
2022年12月26日 16:10
市ヶ谷の噂
OH-1武装化いいですね、国産マンセーな軍ヲタ君達が狂喜してくれそうです。
でもペイロード小さそうなんで、ガンポッドとロケットポッドとATM(ヘルファイアないしスパイク)、携SAMを選択して載っけるくらいかな。
で、肝心のリンクシステムは未搭載。
問題ないでしょ、納税者の皆様方はだーれも興味ないし突っ込まないし、気にもしないんだから。(笑)
あとせめて、アパッチは米国に下取りに出すくらいはして欲しいですね。まだ機体寿命は十分残ってるだろし、ただスクラップにするよりはマシでしょう。
モグトラダムス
2022年12月26日 16:13
ど素人オレの予言
ロシア軍劣勢になって戦術核使用で講和
やれやれ
2022年12月26日 17:29
■本日の市ケ谷の噂■
OH1全部復活するのってあと7,8年位掛かるんでしょ?無駄だと思いますが。
それと現状でも91式地対空ミサイルを4発まで装備可能ではあるのですが、実際使えるのでしょうか?
それ以上の武装となると機動性が犠牲になりますね。
あと1000馬力エンジンは使えそうには思えませんが、
使えるレベルだったら魔改造もありかもしれませんけど、
結局携行地対空ミサイルの餌食になるだけかと。
博物館行きで良いと思いますよ。
kobakoba
2022年12月26日 19:13
アタレよりもfull-semi-safeの方が判りやすい気がする。。。
偽陸士
2022年12月27日 10:01
正直Full要らないかな。

SemiとSafeだけで良いと思うんだが。
やれやれ
2022年12月27日 13:52
https://i.imgur.com/EOFuDYy.jpg
https://i.imgur.com/F7kSEe1.jpg
まあポーランドでさえこれですから。
自衛隊装備の貧弱さが分かろうと言う物。
今日日照準器とサプレッサ位は欲しいですよね。

先日YouTubeで偶然見つけた12.7mm対物ライフルのサプレッサの威力には驚きました。炎は見えないし音が凄く静か。こんなので1キロ以上向こうから狙われたら居場所簡単にはわからないでしょう。
赤外線カメラ積んだドローンさんが無いと発見は厳しいでしょうね。
偽陸士
2022年12月27日 17:03
調達が下手なのも業界再編に着手しないのも、ひとえに戦争をひとつの事業と捉えられない事も原因かも知れません。

敵はどの位の戦力で、それに対して此方はどれだけ爆弾や砲弾を落としミサイルをどれだけ撃ち込むか。

それにより艦船なり戦闘機なり火砲の必要数が出る。

この数なら輸入かライセンスか?
余裕が有るなら自主開発もあるか。

途中で金が無くなって共喰いになるなら見積りも、外部に委託しても良いのではあるまいか。

やれやれ
2022年12月27日 17:45
偽陸士さん、
「途中で金が無くなって共喰いになるなら見積りも、外部に委託しても良いのではあるまいか。」
そもそも装備庁がアレなのが問題なのかと。
あと無意味に国産を有難がる実際には自分では運用しない市ヶ谷などに巣くうおエライサンとか。
偽陸士
2022年12月27日 23:11
やれやれ様。

>そもそも装備庁がアレなのが問題なのかと。


そうでしたね。
装備庁がいましたね。
ここにも財務省からお目付け役を派遣してもらった方がいいのかも知れません。


>あと無意味に国産を有難がる実際には自分では運用しない市ヶ谷などに巣くうおエライサンとか。

無意味というより将来の天下り先確保の為でしょうかね。(呆)