オーストラリアへの護衛艦輸出は絵に描いた餅だが、コンペ参加には意義

我が国はオーストラリアの新型水上艦艇プロジェクトに手を挙げるようです。
結論から言えばこれは契約が取れないでしょう。ですが、なぜ自分たちがだめかということを勉強するいい機会です。

市場の厳しさを知るがいい。

オーストラリアの新型艦、政府が共同開発を検討…海自の最新鋭護衛艦輸出を想定
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240507-OYT1T50024/

>日本政府は、オーストラリア政府が計画する新型艦艇の共同開発への参画に手を挙げる方向で調整に入った。共同開発相手に選ばれた場合、海上自衛隊の最新鋭の護衛艦を改造して輸出することを想定している。

>豪政府は今年2月に新型艦艇11隻を海軍に導入する計画を発表した際、日本、スペイン、韓国、ドイツの4か国の艦艇を候補に列挙した。年内にも具体的な要求性能などを明らかにし、各国に共同開発を提案するとみられる。

>防衛省は、2022年に1番艦が就役した「もがみ型」護衛艦をベースに、豪政府が求める装備や機能などを追加する開発を検討している。


海自の水上戦闘艦艇はネジや電源などの規格ではMILスペック、米軍の軍艦と同じ規格を採用しています。これは問題ない。だがFFMはコスト削減のために船体にMILスペックを採用せず、日本の造船規格を採用しています。軍艦としてどうなの?ということになるでしょう。規格を見直して再設計となればコストはかさむでしょう。

それに輸出はドンガラだけで、中身のシステム統合はタレスやBAEなどのオーストラリアの子会社が受注するでしょう。レーダーやソナーなどは米軍と同じものが採用される可能性は高いでしょう。
高くて性能が悪い日本製ソナーなんて採用されるわけがありません。潜水艦商戦で負けた理由の一因はソナーです。
それにRWSも当然他国のものを採用するでしょう。でもびっくりするでしょうね。日本製鋼所製のRWSはコスト削減のために、自動追尾装置やレーザー測距儀外したと聞いたら。そんな胡乱なことを考える連中が作った水上戦闘艦はやばくないか、と普通に心配になるでしょう。

輸出を狙うならばもっと小物を狙うべきです。たとえば自信があるなら軍用トラックとか。なにせオートバイ同様に世界中に販売、サービス網があります。防衛省や政府には武器輸出のためのセンスが決定的に欠けています。

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大では6年生の過去最大の留年を受けて、強化講習を企画するもようなれど、原因が教員の質の低下なので効果が薄い、との噂。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
陸自装甲車両調達の最新情報 24年度防衛予算
https://japan-indepth.jp/?p=82517

月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。
軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]
軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

apan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

この記事へのコメント

Goodman80
2024年05月07日 12:12
ロシア軍の「亀戦車」がまた進化、甲羅が二重化してますます巨体に
https://forbesjapan.com/articles/detail/70742
>とくに、何重もの防護層を貫通するように設計された約8.5kgのタンデム弾頭を搭載する約16kgのジャベリン対戦車ミサイルに対しては、この追加装甲はほとんど役に立ちそうにない。
そのジャベリンを取扱うのは唯の歩兵、真面に防御などされてなどいない。先にドローンを展開させて進撃すれば先に”駆除される”のは歩兵になるだろう。歩兵もカメになるのかも?
やれやれ
2024年05月07日 13:15
「だがFFMはコスト削減のために船体にMILスペックを採用せず、日本の造船規格を採用しています。」
まずこれがありえないんですが...駄目でしょう。
お船も完成品を輸入したほうが良さそうですね...

■本日の市ヶ谷の噂■
これ防衛医大の先生が学生を教えるに値しないボンクラ揃いという事でしょうか?
何もかもおしまいじゃないですか。
偽陸士
2024年05月07日 14:58
>我が国はオーストラリアの新型水上艦艇プロジェクトに手を挙げるようです。
結論から言えばこれは契約が取れないでしょう。ですが、なぜ自分たちがだめかということを勉強するいい機会です。

>市場の厳しさを知るがいい。


彼等は自分達が駄目だと思わず世界の方が間違ってると仲間内で言い合うだけで、学ぶ事はしないし後に繋げる事もしない。
日本が財政破綻して官需が無くなり引き籠もれ無くなるか、実戦で一方的に撃破されないと具体的な行動はしないでしょう。

自分達の駄目さに気が付いて、防衛産業から足を洗ってくれればまだ救いは在るのですが。
KU
2024年05月07日 18:39
>輸出を狙うならばもっと小物を狙うべきです。たとえば自信があるなら軍用トラックとか。なにせオートバイ同様に世界中に販売、サービス網があります

まずは、この辺りから始めるのが無難なんですかねえ...
ミスターフリゲート
2024年05月07日 19:18
ドンガラもとい船体が売れるだけでも大分進歩かと。まあ規格はいい加減米軍基準にすべきだし、今後建造する際もこの規格であるべきだろう。
Goodman80
2024年05月07日 20:24
日本も豪海軍のフリゲート調達に参戦、もがみ型ベースの艦艇開発を検討
https://grandfleet.info/japan-related/japan-also-participates-in-frigate-procurement-for-the-australian-navy-considering-development-of-vessels-based-on-mogami-class/
>軍艦の現地建造やサプライチェーンの構築にノウハウをもつ企業(例えば導入候補に列挙されていない英国のBAEなど)と手を組むのが最善なのかもしれない。
先ずは海自の保有する艦艇全てをBAEなどにチェックしてもらい改善を実施するのが先じゃないのか、自浄能力皆無な自衛隊なんだから、そうだ陸海空全てやって貰おう、そうしよう。
マリンロイヤル
2024年05月08日 00:41
Goodman80さん

第二次大戦で、最も活躍した日本の戦艦は、イギリスで建造した「金剛」でした(笑)


>>輸出を狙うならばもっと小物を狙うべきです。たとえば自信があるなら軍用トラックとか。なにせオートバイ同様に世界中に販売、サービス網があります。

19式のトラックがドイツ製ですからね。トラックですら先は長いでしょう。



>>それに輸出はドンガラだけで、中身のシステム統合はタレスやBAEなどのオーストラリアの子会社が受注するでしょう。

近年、海自が建造した艦艇で、一番デキが良いのは「むらさめ型」です。FFMのステルス形状を取り入れて再設計したら、良いドンガラに成れるのでは。
元出入り業者の者
2024年05月08日 06:56
日本の捨てるす設計は単にRCS計算ソフト回しただけのなんちゃってだから実際の性能は???
 米帝様なんかと違って計測レンジないから検証されていないと思われ。
Goodman80
2024年05月08日 09:07
トヨタ「65歳以上を再雇用」へ、8月から全職種に拡大…70歳まで雇用可能に
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240508-OYT1T50023/
「見~つけた!」安くこき使える労働力、これいくらでも湧き出て来る不思議の泉じゃん。労災とかでいくら○んでも全然問題無いし、日本の未来は明る~い。ほら、厚労省大企業様の(主にモノ言う株主様)為に、法令改正だ!
Goodman80
2024年05月08日 11:48
専守防衛が第一義ならば「陸主海従」は見直すべきでは 片山杜秀
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240521/se1/00m/020/002000c
そうだ、陸自なんて縮小して空海自を大幅に拡充して周辺国に備えるんだ!まあ、米陸軍様がお許しにならないだろうが。でもやらんと在日米軍基地も守れない状況なんだけどね。まあ、植民地政府が全く守る気のない一般国民には全く関係ない事なんだが。
有料記事で途中までしか見れんから、大石先生の受け売りなんだけどね。
偽陸士
2024年05月08日 19:08
ミスターフリゲート様。

>外資系ファンドによる植民地化が進み貧しくなり続けている日本の現状


悪いのは外資系ファンドじゃなくて、租税条約でしょうに。

外資系ファンドもアメリカ以外の国なら問題無いでしょうが。

そんな事を言うなら日本の金融機関が、海外に投資するのも駄目だとなりますよ。
ブロガー(志望)
2024年05月08日 23:14
お邪魔します。
 かつて海自が湾岸戦争後の機雷掃海に行って、己が「井の中の蛙」だと思い知らされたといった事を読んだ記憶があります。尤も「何をどうされているか分からない物に対処する」湾岸戦争後の機雷掃海は掃海部隊にとっては"実戦"でしょうが、潜水艦を巡る顛末等を見る限りオーストラリアに「海上兵力のあるべき姿」に対する一貫した考えがあるようにも思えませんので、ただ振り回されただけで終わる可能性もありますが(潜水艦建造をひっくり返されたフランスのように)。
 それから以前装輪車両が増えたのは、冷戦終結等でコスト削減が求められた事が一因だと当ブログで読んだ記憶があります。水上艦艇でも最初からそのために設計・建造された艦よりも、民間船舶またはそれをベースにした船に兵装コンテナ等を積んだ船が多くなるかも知れないと思ったりもします。大口径砲やそれを防ぐ装甲が過去の物になったので、最初からそのために設計・建造された艦である必要性は減少したのではないかと。日本も兵装コンテナ等を供給してくれる国と組めれば良いのかも知れません。