海自の哨戒機選定、だから言ったじゃないか。

ぼくはP-1開発に反対していました。理由はまず絶対コスト高になること。
機体、エンジン、システム全部専用ですから当たり前です。しかも双発ではなく4発です。
当時のP-3Cですら予算が足りずに共食い整備をしていました。そんな贅沢な機体を導入したら稼働率は更に低くなるに決まっています。当時は余剰のP-3Cがありましたからなんとか運用できていましたが、新型機ではそうは行きません。

信頼性が担保できないこと。信頼性の低い国産エンジンを4発積んでも信頼性は担保されない。これは国産化するための言い訳だったのでしょう。

そして技術的な端境期に当たること。当時米海軍のポセイドンは、低空を飛ばない、無人機の運用も想定していました。更に低速で飛ぶ旅客機も存在しなくなってきた。ニムロッドが低速で低空を飛べるのは50年代に開発されたコメットが原型機だったからです。そのニムロットの近代化は失敗しました。

そして現実それは的中しています。開発、調達、維持整備コストは高騰し、稼働率はわずかに3割です。現場はなんとかしてくれと嘆いています。しかも肝心の性能もかなり怪しい。当時散々国産真理教の軍オタさんたちから叩かれましたが、彼らが自分の非を認めたことはありません。


だから既存のP-3Cを延命化すべきだと主張しました。主翼を新造すれば期待寿命はゼロに戻ります。そしてグラスコクピットを導入し、エンジンも換装し、システムも更新すれば性能的にも及第点でしょう。しかもP-3Cのアセットが使えるので維持費、整備費、訓練費も低減できる。
これを使って、その間にポセイドンのアプローチが正しいのか、失敗なのかもわかるでしょう。無人機の運用がどの程度まで現実化するものわかる。また他国の哨戒機も開発されるでしょうから、その動向をみてP-8を導入するのか、他国の哨戒機を導入するのか、国産にするのか決めればいい。要は風呂は沸いてから入れ、そう主張してきました。

でエアバスは旅客機をベースに哨戒機を開発します。

海上哨戒機「独自設計辞めます!」次世代機に選ばれたのはエアバスの「超ベストセラー旅客機」
https://trafficnews.jp/post/518135

>エアバスは2025年2月4日、フランスの将来的な海上哨戒機の評価及び研究のために、子会社であるエアバス・ディフェンス・アンド・スペースがフランス国防装備庁と契約を結んだと発表しました。

>フランスの大手電機企業であるタレスとも提携して行われるこの研究は、エアバス A320の長胴型であるA321をベースとした哨戒機「A321 MPA」の開発を目指す過程での性能評価のひとつで、順調にいけば2026年末頃には、海上哨戒機の開発と生産開始に進むことができます。

>フランス海軍では現在運用している海上哨戒機である「アトランティック2」を2030年から退役させ、2040年までに全て新型機に置き換える計画を立てており、A321 MPAは同機に代わる機体として研究・開発が続けられています。

>そのため、A321 MPAには対潜水艦及び対艦戦に特化した魚雷や開発中の対艦ミサイル「FMAN」が装備されるほか、最新世代レーダー、パッシブ・ソナー・ブイおよびアクティブ・ソナー・ブイを使用する音響システム、電子戦に対応する電子光学戦システム、磁気異常探知(MAD)など各種の装備が付けられる予定です。

>哨戒機として長距離飛行能力と低空飛行を含む高い機動性を備えることも予定されています。ベース機にA320が選ばれたのは、1万機以上が就航している運用実績や信頼性、旅客機ベースならではの低メンテナンスコストなどの理由があるようです。

明らかにP-8を研究したうえでの開発にGOでしょう。結局専用の機体を開発するような余裕はどこの国にもない、ということです。P-3Cですら共食い整備をしていたのに能天気に全部オリジナルがいいと駄々をこねて、防衛庁長官が反対したにもかかわらずP-1を開発した海幕の罪は極めて重いとおもいます。

防衛省、装備庁、海幕はなぜP-1の開発が失敗したのか検証する委員会を立ち上げて、しその内容を納税者に開示すべきです。


■本日の市ケ谷の噂■
自衛隊には「防衛衛生学会」という医学会があり、年に一度、地方と中央で総会が開かれるが、衛生小隊長、治療小隊長等の現場の研究発表を竹島茂人センセイが悉く潰してきたので、総会は研究発表ではなく、部隊訓練成果を部隊長が筆を入れた内容を発表するだけの場なっている。学会ではなく発表会。以降は議論はなくなり、発展もない状態。
竹島茂人センセイのアカデミックハラスメントは自衛隊内でのネットワーク環境でも徹底しており現場からの研究発表や記事について一部の間違いを見つけては、間違いの部分だけを直せばよいものを全文を取り下げさせていた。このため次第に現場からの声は上がらなくなり、やる気のある衛生科隊員が中途退職する道筋をつけたようなもの。その一方で日本災害医学会での竹島茂人センセイの発表は、聴衆から叩かれており、小さくなっていた。現実離れした内容はDMATの医師から、間違った自衛隊の発表は退職した医官からの非難を浴びていた、との噂。




財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf

【Kindle出版】
昔書いた「防衛破綻」「専守防衛」がKindle化されました。順次他の電子媒体でも発売となります。
電子版向けのまえがきも追加しております。15年ほど前の本となりますが、防衛議論の基礎データとしてご活用いただければ幸いです。


防衛破綻 - 清谷 信一
防衛破綻 - 清谷 信一
専守防衛 - 清谷 信一
専守防衛 - 清谷 信一



Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
フリーランスの記者は害悪で記者クラブこそが正しいのか
https://japan-indepth.jp/?p=86320
日本の装甲車事業は日本製鋼所と防衛省が潰す
https://japan-indepth.jp/?p=86042


補正予算という麻薬が将来の国民を蝕んでいる
https://japan-indepth.jp/?p=85936

海自の無人機、MQ-9Bの調達とインド軍の調達の違い
https://japan-indepth.jp/?p=85823

 European Security & Defenceに以下の記事を寄稿しました。
Japanese MoD selects Beechcraft T-6C as the JASDF’s new primary trainer
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41765/japan-selects-t-6c-for-jasdf/

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊 次期初等練習機選定は審査が僅か一ヶ月で試乗もなし
https://japan-indepth.jp/?p=85525

月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態
紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社
紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。
軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]
軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651


この記事へのコメント

マリンロイヤル
2025年02月07日 13:04
東シナ海なんか、もはや、戦闘機でさえ危なくて飛ばせない状況、P1なんか飛ばせません。

いま開発中の無人潜水艇のエコーボイジャーと連携する機能を、ボンバルディアグローバル 7500に載せて、チョークポイントで運用するのが良いと思います。

P1は使い所が無い。
やれやれ
2025年02月07日 13:39
下総のP3Cもそろそろ最後だそうでP3C乗りの新人パイロット養成もまもなく終了です。最後に残った1機はどこかに配備するのか用途廃止になるのか分かりませんが。
厚木、鹿屋とあらかたP1も行き渡ったので(数の上では)そろそろ八戸と那覇にも配備が始まるかもしれませんが、さて使い物になるのか?稼働率が低いままなら哨戒任務ができないしP3Cを延命する気もなさそうだし困ったものだ。
結局P1の稼働率の低さ、性能の悪さ、運用コストの高さが顕になって任務が遂行できず。P1を見切って低空での哨戒を止める決断をしない限り新型哨戒機って話にはならないんでしょうね...UAV頼みに転換するかも知れないですが。

今どき飛行機を使って低空での哨戒や捜索活動にそれだけ意味があるのだろうか?
あまりないから他国は哨戒ヘリで十分って考えているんだと思いますが。
KU
2025年02月07日 21:42
>>>哨戒機

清谷さんが再三再四どころか再五か六くらい、いやそれ以上に渡り、さんざん忠告警告してきたのにorz。ガン無視した結果が今の体たらく...。ガチで石破さんにはトランプさんに土下座してでも、P-8とトライトンのセット購入を決定してきてほすい。

※高速滑空弾の発射試験成功 離島防衛へ長射程ミサイル 装備庁

https://news.yahoo.co.jp/articles/cff4d8fb0a9a21e43ce7672ac86ed3b4adac1084

※スタンド・オフ防衛能力に関する事業の進捗状況について

https://www.mod.go.jp/j/press/news/2025/02/07b.html

島嶼防衛何たら、なんて言ってるけど『事実上』の短距離弾道弾ですよね、コレって。それに予算も増えるんだしw、たった4,5回くらいの射撃試験で満足せずに10数回とかやらんとねえ...
ミスターフリゲート
2025年02月07日 22:34
参考に
【悲報】石破首相「防衛費はGDP比2%でも足りないことがある」トランプ大統領の誕生により防衛費はGDP比3%へ
http://blog.livedoor.jp/googleyoutube/archives/52015169.html

嫌儲民曰く
・輸出止められる、海上封鎖だけで日本は負ける
・現時点で所有してる海自の艦艇は全部中国の偵察衛星がモニターされてて開戦と同時に対艦大陸弾道ミサイルを撃たれて10分で全滅
・こっちから仕掛けない限り日本に侵攻しない
・中国ロシアと同盟結べばいい。尖閣を中国に租借して軍事基地にして貰えばええ
・日本がいつまで米国に有用性を証明し続けられるか問題だけど衰退国だし無理ゲーじゃね
素直に中国へ太平洋進出フリーパスを与えて不凍港能登周辺をロシアに貸し付けてしまおう
・中国と仲良くすれば0円なのにねぇ
・防衛費0%にして良いぞなんの問題もないぞ
なんなら防衛省も不要だぞ向こう側もそうしてほしいんだぞ本音では

だそう。

こいつらはともかく、まあこれ以上は防衛費増やすべきではないのは言えてるし清谷氏も散々言ってるけど、嫌儲民は防衛費は全てアメリカに貢ぐためでしかないと何やら見当違いな意見ばかり。
むしろ問題視すべきはここで挙げられてる、p1やc2とか高い割に低性能な国産兵器とか、日本のドクトリンに合ってない火砲や戦車を多く保有してることなんだよね。
まあ、守るかどうか分からないアメリカに対する思いやり予算や日本じゃ手に余るf35を購入してることについては、貢ぐって言葉も当たらずとも遠からずではあるが。
まあ嫌儲民も軍事にあまり詳しくはなさそう。
というか、むしろ中国ロシア側につけ、って言うってるし。
ナナッシー
2025年02月07日 23:03
戦争という実践の場が無いからデタラメをやりたい放題なだけですね。
ぶっちゃけカネさえ貰えればどんなゴミを作ろうと構わないんでしょうね。
それで防衛予算増額とかカネをドブに捨てるどころではない大暴挙です。
KU
2025年02月08日 06:56
※【詳しく】日米首脳会談 石破首相「対米投資額1兆ドル規模に」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250207/k10014716491000.html

>トランプ大統領は共同記者会見で、「日本はアメリカの軍事輸出品や装備品の購入が最も多い国の1つだ」と述べました。

>防衛装備品の技術協力の促進

いったい、何を買わされることやら((((゚д゚;))))。P-8とトライトンのセットを買え!とかならウエルカムwですけど...。高等練習機に棒員具+北欧なアレベースの機体を!とか?GCAPに1枚噛ませろ!とかとか...
ブロガー(志望)
2025年02月09日 10:58
お邪魔します。
 かつて戦争には領土や賠償金といった「得るもの」がありました。その後それに「植民地」が加わってそれの獲得競争が激化したため、勝つために兵器専用機の開発及び運用が進んだものと思われます。しかしその後戦争のコストがうなぎ上りになる一方で戦争に勝っても得るものが無くなったため、コストの高い専用機の開発及び運用ができ難くなったのでは。飛行艇や水陸両用車といった両用兵器の退潮もコストがかかる割にはそれが有利になる条件が限られるといった費用対効果の悪さが関係しているのではないかと思ったりもします。民間に似た用途が無い戦闘機や戦車とかはどうなるのかとも。
 残念ながら人は話し合い「だけ」では問題を解決できません。国内では国家という「絶対強者」を作る事で解決しましたが、国際社会では未だそういったものはありません。国同士の殴り合いが「戦争」で、かつては「ジャブを応酬し、劣位に立った方が譲歩する。」で「解決」していたのでしょうが、第一次大戦の頃から戦争のコストも犠牲も大きくなり過ぎてやり難くなってしまいました。「平和の意思」などではなくうなぎ上りのコストやリスクが戦争を抑制する事になったのですが、それは却って問題の収束を困難にしたばかりか、「まともなやり方ができないならまともでないやり方で」で不正規戦・テロを増大させて、一旦は戦争から遠ざけられた非武装の一般市民への脅威が増大する結果になったのではないかとも思ったりもします。