オスプレイの低稼働率と維持費の高騰にだれが責任をもつのか?

昨年のJDW、12月24日号の有料記事です。
NAVAIR review uncovers safety and readiness issues in V-22 tiltrotor
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/air/navair-review-uncovers-safety-and-readiness-issues-in-v-22-tiltrotor

US Naval Air Systems Command (NAVAIR)がオスプレイの安全性と稼働率に問題があるとの報告書を出しました。
過去4年間でオスプレイはクラスA事故を12件発生させ、4機の損失と20名の隊員が犠牲となったとし、「第一世代ティルトローター機であるV-22オスプレイは、複雑な設計、高い整備工数要求、非効率な供給システム、現行の維持戦略により、運用準備態勢に課題を抱えている」と報告書は指摘しています。更に「これらの要因により、過去4年間で平均任務遂行可能率が持続的に低い水準(60%以下)に留まり、ミッション達成率は30パーセントに過ぎず、しかも過去4年で飛行時間当たりの運用・整備コストが増大している。と指摘しています。

軍オタさんたちはオスプレイに何ら技術的な問題はないのだと強弁してきたわけですが米海軍はそうは思っていないようです。

更に申せば、コストの問題です。稼働率、ミッション達成が低いにも関わらず運用コストだけは高騰してきている。そもそも技術的に無理があり、成熟した技術ではなかったが調達を行った付け露出したということです。

オスプレイ導入はNSSや官邸の意向でした。自衛隊が導入して安全とアピールすれば米海兵隊のオスプレイに対する批判が和らぐであろうという政治的な決断でした。
政治決断をするなとは言いませんが、であれば3〜4機に抑えるべきだった。当時の岩田幕僚長もそう考えていたようです。ところが17機も調達してしまった。
おかげで陸自航空隊は予算を取られてがたがたになりました。結果としてオスプレイ導入は大金をかけて陸自航空隊を脆弱にした。

当時はそこまで判断できなかったという言い訳もあるでしょう。ですが予算面から見て過大な費用が必要で陸自航空隊の予算を圧迫することはわかっていました。しかも陸自のカウンターパートである米陸軍がなぜオスプレイを導入しなかったか考えれば、導入は避けたでしょう。よしんば導入しても特殊部隊用に3〜4機で済ませておけばよかった。
そうすれば傷も浅かったでしょう。

陸自「攻撃ヘリ部隊」は、自滅の危機にある
オスプレイ大量調達の前に見直すべきこと
https://toyokeizai.net/articles/-/84832?display=b
だから言ったじゃないか。陸上自衛隊オスプレイの平均稼働率40%未満が常態化
https://kiyotani.seesaa.net/article/519546381.html

オスプレイの拙速導入は、安倍政権による濫費
防衛省概算要求に隠された問題<後編>
https://toyokeizai.net/articles/-/47070?display=b

オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その1
https://japan-indepth.jp/?p=27338#google_vignette
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その2
https://japan-indepth.jp/?p=27346


陸上自衛隊オスプレイの平均稼働率40%未満が常態化整備員と部品不足が運航効率を著しく阻害する
https://www.mixvale.com.br/2025/12/23/%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%A8%BC%E5%83%8D%E7%8E%8740%E6%9C%AA%E6%BA%80%E3%81%8C%E5%B8%B8%E6%85%8B%E5%8C%96/

>>陸上自衛隊が運用する垂直離着陸輸送機オスプレイの平均稼働率が、近年40%を下回る状態が継続していることが明らかになりました。この低迷は、同機の本来の能力発揮を阻害し、日本の防衛体制、特に南西地域の防衛力強化計画に深刻な影響を与えかねないと専門家は指摘しています。

まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない①
https://japan-indepth.jp/?p=2962
>米陸軍の航空隊トップだった将軍によると米陸軍がオスプレイを導入しなかった最大の理由は、飛行特性にあるそうだ。オスプレイが着陸する場合には固定翼モードからヘリモードに切り替えるが、ヘリと較べてかなり長い時間を掛けて徐々に高度を落としていく必要がある。また、その際には空中機動性能がヘリよりも劣り、ヘリのような急旋回やダイブなどといった機動ができない。
>つまり、地上に敵がいるような競合エリアではオスプレイによるヘリボーン作戦を行えば、敵の対空砲火によって撃墜される可能性は極めて高くなる。さらに言えばオスプレイはヘリのように側面にドアガンを装備することができない。また、スタブウイングも無いので、これに機銃やロケット弾、ミサイルなどを搭載して地上を制圧することもできない。

まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない②
https://japan-indepth.jp/?p=2967
>オスプレイは巡航速度が時速443キロとヘリよりも圧倒的に高速なので、巡航速度が200キロ台で航続距離が短い攻撃ヘリや武装した汎用ヘリが地上制圧や護衛のために随伴することが出来ない。地上制圧はジェット戦闘機も可能だが、対地速度が極めて速いために正確な攻撃ができない。また滞空時間が短いために長時間作戦空域にとどまって火力支援を行うことができない。現状唯一の攻撃手段はBAEシステムズがオスプレイ用に開発した機関砲を胴体下部に装備することぐらいだ。だがその分搭載量は減るし、攻撃ヘリや武装ヘリのように多彩な兵装を搭載できない。

>オスプレイは速度では固定翼機にはかなわない。ターボプロップ式の典型的な輸送機、C-130Jの巡航速度は時速634キロに対してオスプレイは時速443キロに過ぎない。つまり、ヘリほどの器用な空中機動はできず、また固定翼機ほど高速はでないという、ある意味中途半端な機体である。


なぜ米陸軍がオスプレイを採用しなかったか。また陸自内部でも反対の声は小さくなかった。それを政治が押し込んだわけです。だがその結果起きた惨事の責任は政治はとらなかった。

オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機?
防衛省は「複数候補から選んでいる」と強弁
https://toyokeizai.net/articles/-/51614

>オスプレイとAW609は、「可動式ローターが付いている」という点は確かに同じだが、まったく異なる機体だ。AW609 は軍事用ではなく、民間用のビジネス機なのである。

>AW609は機体の規模が3分の1程度。AW609を軍用の戦術輸送機として使用する場合、多くの改造が必要である。本当にAW609 を候補に入れたのであれば、砂利を運ぶためにダンプカーを調達しようという時に、軽のワゴン車も候補に入れるようなものである。

>そもそもAW609は開発中の機体であり、実用化は2017年と見込まれている。そこから更に軍用型を開発する必要がある。この開発には数年はかかるだろう。また同機は既に注文を抱えており、防衛省が仮に発注してもすぐに製造してくれるわけではない。つまり、まずは開発費を計上する必要があり、防衛省は来年度の予算で発注はできない。防衛省は来年度の予算で量産機を発注する予定であり、その点からもナンセンスだ。

>ところが江渡防衛大臣は24日の定例記者会見で筆者の質問に対し、AW609がティルト・ローター機の候補であることに問題は無いと答えたのである。

こういう初めから結論ありきの導入は税金を溝にして、自衛隊を弱体化させるだけです。こういう体制でいくら防衛費を2倍、3倍に増やしても国防力は強化されません。
むしろ借金軍拡で弱体化が進むだけです。

Kindleの有料記事を書きました。
装甲車両にCRT(Campsite Rubber Track)、ゴム製履帯を導入するメリット 清谷信一軍事記事
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GKWGJHF3/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=17R4THR506RDG&dib=eyJ2IjoiMSJ9.Sr9tUAgvMUcMOR8cEdtQUxN4O-lAra3G1q62V0FdQQ4atiP2EXITN2OaqZTzqYZZBQZ7z20QlQuaSQHOQmFPAhaIHqMV-QcAlmJn97Yl2cUCevm0BmRQSfNuWc2h8OOmu7_DIu6RFC22DIVd7P2pZa6otBHnZiX5PMvHqY0ma0_YLHRWnF2XA7j4XxLcx30MKlehTAs1y43rT0mErDp2h0YqzgxPVgvE-HVT5NTFSCcWrv4yw5hd4itCBMoyQAKl4Cn_rj8vTfq5uUeMkzKNy-nUFHYa1k3H0QxbGEjXp-s.6iArQjSo4e0MXrFnpFcmbbwexSL-eg471VfJQxWxLJU&dib_tag=se&keywords=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80&qid=1770086599&sprefix=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80%2Caps%2C249&sr=8-1


■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医科大学の「コンバットメディックの権威」である清住哲郎教授が、昨年3月に名古屋で開催された第30回日本災害医学会での第12回学生フォーラム座談会で、護衛艦いずもの手術室の設計を自分がしたと自画自賛。当学生フォーラム座談会とは「災害医療と多機関連携」としているが実態は学生の就職説明会で、清住哲郎教授は自衛隊への入隊を促す役割だった。
だがいずもの手術室は船の中の手術室として工夫されている程度に過ぎず、手術台も一台しかなく、戦時のマスカジュアルティに対応できない。で、本日の市ヶ谷の噂で言われていた戦時収容所としての機能は備えていません。米海軍駆逐艦を見ればわかるように、1室の手術室に手術台は2台以上備えている。これは医師が手術をしている最中に次の患者の用意を行って流れ作業的に手術を行って、多くの患者を短期間に手術行うため。清住哲郎教授の見識は町医者レベルだと嘲笑の対象となっている、との噂。

Kindle 有料記事を書きました。
装甲車両にCRT(Campsite Rubber Track)、ゴム製履帯を導入するメリット
装甲車両にCRT(Campsite Rubber Track)、ゴム製履帯を導入するメリット 清谷信一軍事記事 (清谷防衛経済研究所) - 清谷信一
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Japan in depthに寄稿しました。旧式戦車の有効活用
https://japan-indepth.jp/?p=89965
記者クラブ制は言論統制

東洋経済オンラインに寄稿しました。
拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い

ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817

過去の著作の電子版が発売になりました。
『ル・オタク フランスおたく物語』
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『弱者のための喧嘩術』
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防衛破綻 - 清谷 信一
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専守防衛 - 清谷 信一
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この記事へのコメント

KU
2026年02月05日 21:42

>政治決断をするなとは言いませんが、

尚、あんなそんなガラクタな国産哨戒機やら国産無線機やら国産哨戒艦やらシステム搭載艦の調達を取り止めよう!といふ政治的決断は出来ない模様^_^;
偽陸士
2026年02月06日 11:49
清谷様。

>政治決断をするなとは言いませんが、


言っちゃて良いと思いますよ。
非効率どころか墜落事故にも繋がりかねません。
こんな体たらくでは、侵略も招きます。

経済企画庁が在った頃は、政治も防衛官僚も勝手は出来て無かったと記憶しています。
他の複数の官庁のチェックが入るシステムに戻すのが良いかと。
ブロガー(志望)
2026年02月08日 16:49


お邪魔します。
 その根底にあるのは、日本人には事実と論理が無いが故に体系的というか一貫性を持った考えができず、その時その場の思い付きや利害のバトルロワイヤルの結果としてしか物事が進まないからではないかと思ったりもします。当初は米海兵隊のそれへの反発を抑えるための(少数)導入で初めたのだとしても「導入するのならまとまった数を入れれば米様に喜んでもらえる」とか「最新というか凄そうな兵器を導入すれば自国民の不安を和らげられる」とかが入り込んで、当初の目的とかがどっかに行ってしまったのかも知れませんし、内部でごちゃごちゃやって「何となく」決まった事であるが故に、良くない結果になっても誰も責任を取らず誰も撤回の判断ができないのではないかと。
 後オズプレイの次世代とされるティルトローター機はオズプレイの問題点を克服できるのかに興味があります。もしかしたら「ヘリと固定翼機を一体とする事自体に無理があるから、固定翼機のSTOL化とヘリの高速化を目指そう」になるかも知れませんし、ハリヤーやX32が推力偏向「だけ」であったがF35Bがリフトファンも併用したように、また違う方式が出てくるかも知れません。